ついに建て替えが決まった「横浜・傾きマンション」住民に提示された破格の補償内容とは?

週刊現代 プロフィール

別の管理組合理事も言う。

「『住民説明会にはコンサルタントや弁護士の出席は認めない』と高飛車な姿勢をとったり、『情報をマスコミに出すと風評被害につながるから皆さんのためになりませんよ』と脅すような発言もありました。

補償も一見充実しているようですが、『売却した人には引っ越し代を支給しない』、『所得税分は負担しない』など住民に不利な内容も盛り込まれているうえ、『交渉には応じません』と木で鼻をくくったような対応を続けている。仮住まいの準備にしても、不動産企業なのに親身にサポートもしてくれない」

300億円をどこが払うのか

さらにここへきて、三井不動産をめぐっては新たな「疑惑」も浮上してきた。「三井不動産が建築基準法を『脱法』している可能性がある」と、建築&住宅ジャーナリストの細野透氏は指摘する。

「私はこの横浜マンションの管理組合向けに講演をするなど関係があり、内部資料なども見せてもらっていたのですが、その中で重大な疑惑が見つかりました。やや専門的なので順を追って説明すると、三井不動産は今回のマンション開発にあたり、(1)『杭の載荷試験報告書』というものを提出、(2)建築確認申請の確認済証を取得、(3)杭工事の開始、という手順を踏む必要がありました。それが実際には、三井不動産は(2)→(3)→(1)という手順で進めていたことがわかったのです。

載荷試験が行われたのは、杭工事がすでに開始されてから約45日も経った後で、杭の載荷試験報告書が提出されたのも杭工事が完了した後のことでした」

実は今年1月8日に旭化成の外部調査委員会が出した中間報告書の中でも、載荷試験の実施前に杭工事が始まっていたとの事実が指摘されている。細野氏が続ける。

「そもそも確認申請に必須の資料が不足していた場合、確認済証が交付されることはない。また、確認済証に正当性がなければ、杭工事も建築工事も行うことは許されない。もちろん、完成した建物の販売も許されません。しかし、それがなされていたわけです。

ここからは私の憶測ですが、三井不動産はそんなことは最初からわかっていたはずです。だからこそ、全棟建て替えを提示してきたのではないか。『全棟建て替えます』と言えば、それ以上は問題を突っ込まれず、追及の矛先は向けられずに済むと思ったのではないか」

三井不動産は「詳細については回答を控えさせて頂きますが、本件の一連の手続きについては適正になされていたものと認識しております」(広報部)と回答した。

ちなみに、全棟建て替えに際しては、建て替え費や住民への補償費などで総額300億円ほどかかると言われている。