自民党が選挙改革に猛反発する「呆れた理由」

鈴木 哲夫 プロフィール

あの約束を忘れているのか

そもそも「定数削減」の話はどこからきたものか。

さかのぼること3年前の2012年11月。民主党政権の支持が落ちるところまで落ち、安倍晋三氏を新総裁に選出した自民党が勢いを増し、政権奪取が間近に迫っていたころだ。当時の野田佳彦首相と安倍総裁の間で繰り広げた党首討論は、忘れようと思って忘れられるものではない。

「解散総選挙をしてもいい。その代わり約束して欲しい。国民に消費増税を求める代わりに、どちらが政権をとっても来年の通常国会で衆議院の定数削減をやると約束できるか」

野田首相は鬼気迫る表情で、こう問うたのだ。これに対して安倍総裁は「やりましょう」と応じて、場内は与野党から歓声や拍手が起こり騒然とした。

このやり取りは潔かった。議員も痛みを自らに課そう―。毅然とした党首討論だった。

あれから3年経つが、あの時のトップ同士の約束はいまだに果たされていない。

野田・安倍両トップや議員たちが、なぜ声高に「定数削減」を主張したのか。それは当時、民自公の三党が「社会保障と税の一体改革」を進める中で、消費増税など国民の負担が増えるのに対して、議員自らも身を切る姿勢を示そうではないか、というものだった。

増税は、ないならないほうがいい。しかし、民自公はあくまでも消費増税を通したかった。そこで彼らが国民を説得するために考え出したレトリックが、「国民に痛みを求める以上、議員自身が率先して身を削る」だった。国民はそれを信じて消費増税法案を呑んだという側面もある。

これが「定数削減」の出発点なのである。