仕事力を飛躍的に高める「対話」の技法〜大事なのは「言葉以外のメッセージ」を感じ取ること

田坂 広志 プロフィール

では、このことは、「仕事の技法」という観点からは、何を意味しているか?

読者は理解されたであろう。

「仕事の技法」の根幹である「対話の技法」を身につけるとき、「表層対話の技法」に留まらず、「深層対話の技法」を身につけ、「深層対話力」を高めることが、我々の「仕事力」を、飛躍的に高めていく

読者は、そのことを理解されたであろう。

では、どうすれば、この「深層対話の技法」を身につけ、「深層対話力」を高めることができるのか?

そのことを述べるのが、本書の目的であるが、この冒頭、その要点を述べておこう。

「深層対話の技法」を身につけるためには、商談、交渉、発表、説明、会議、会合、報告、連絡、相談など、日々のすべての「仕事」における「言葉以外のメッセージ」の交換を振り返り、細やかに、そして深く「反省」することである。

ここで、「反省」という言葉を使ったが、これは、「経験したことを、冷静に、理性的に、省みること」であり、感情的な側面の強い「懺悔」や「後悔」などとは異なり、「経験」から「智恵」を掴むための極めて合理的・科学的な方法である。このことは、本書を読み進まれると、深く理解されるであろう。

そして、もし、読者が、この合理的・科学的な方法としての「反省」を、習慣として身につけるならば、日々の仕事の「反省」を通じて、確実に、「深層対話の技法」を身につけ、「深層対話力」を高め、「仕事力」を飛躍的に伸ばしていくことができるだろう。

しかも、この修得のプロセスは、極めて即効的である。もし、読者が、本書で述べる技法を、頭で理解するに留めることなく、日々、実践されるならば、その実践を始めたその日から、何かが変わり始めるだろう。確実に、何かが変わり始めるだろう。

しかし、こう述べてくると、改めて、読者の心には、いくつもの疑問が浮かんでいるだろう。

なぜ、「仕事」の根幹が、「対話」なのか?

「表層対話」とは、何か? 「深層対話」とは、何か?

なぜ、「表層対話」よりも、「深層対話」が重要なのか?

「深層対話の技法」とは、何か? 「深層対話力」とは、何か?

どうすれば、日々の仕事の「反省」を通じて、「深層対話力」を高めていけるのか? 「深層対話力」を高めると、どのように、「仕事力」が高まるのか?

本書においては、そのことを、具体的な「仕事の場面」を通じて、分かりやすく語っていこう。

→「第一話」は明日公開

田坂 広志(たさか ひろし)
1951年生まれ。74年東京大学卒業。81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。民間企業を経て、87年米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。90年日本総合研究所の設立に参画、取締役等を歴任。2000年多摩大学大学院教授に就任、社会起業家論を開講。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立、代表に就任。08年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilメンバーに就任。10年世界賢人会議ブダペスト・クラブの日本代表に就任。11年東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任。13年「現実を変革する七つの知性」を学ぶ場、「田坂塾」を開塾。著書は80冊余。