仕事力を飛躍的に高める「対話」の技法〜大事なのは「言葉以外のメッセージ」を感じ取ること

田坂 広志 プロフィール

その「対話」には、二つの種類があるということ。

一つは、「表層対話」と呼ぶべきもの
一つは、「深層対話」と呼ぶべきもの

では、「表層対話」とは、何か? それは、「言葉のメッセージによる対話」のこと。

では、「深層対話」とは、何か? それは、「言葉以外のメッセージによる対話」のこと。

こう述べると、驚かれる読者がいるかもしれない。

「言葉以外のメッセージ、というものがあるのか?」

その疑問を持たれる読者である。

その通り。メッセージには、「言葉のメッセージ」と「言葉以外のメッセージ」がある。

これを、コミュニケーションの専門分野では、「言語的メッセージ」と「非言語的メッセージ」と呼ぶが、実は、日常の仕事や生活においては、「言語的メッセージ」よりも、むしろ、「非言語的なメッセージ」の方が、支配的な役割を果たしている。専門家の中には、コミュニケーションにおいては、「言語」の役割は2割で、「非言語」の役割は8割だとする者もいる。

実際、我々は、この「言葉のメッセージ」と「言葉以外のメッセージ」の違いを、毎日、仕事や生活の場面において経験している。

例えば、言葉では、「いいですよ、気にしてませんから……」というA君だが、その表情からは、例の件を、そうとう気にしていることが伝わってくる場面。

例えば、仏頂面で「申し訳ありませんでした」と言いながら頭を下げるB氏だが、その雰囲気からは、本当に申し訳ないとは思っていないことが伝わってくる場面。

例えば、「耳の痛いことでも何でも言ってください」と言うCさんだが、腕を組んで相手を睨みつける仕草からは、むしろ、「私に何か悪い所でもあるんですか!」という拒否の気持ちが伝わってくる場面。

例えば、「あなたって、本当に馬鹿ね……」というD子さんの言葉の奥から、目の前で落ち込んでいる恋人への優しい愛情が伝わってくる場面。

このように、日常の仕事や生活において、「言葉のメッセージ」として伝わってくるものと、視線や表情、仕草や動作など、言葉の奥から「言葉以外のメッセージ」として伝わってくるものが違っているという経験は、誰もが持っているだろう。

そして、この四つの場面が、いずれも示しているように、「対話」や「コミュニケーション」においては、「言葉のメッセージ」よりも、「言葉以外のメッセージ」の方が、むしろ重要な意味を持っている。

これは、何を意味しているか?

「表層対話」よりも、「深層対話」の方が、重要な意味を持っている

そのことを意味している。

すなわち、仕事や生活の「対話」においては、「言葉のメッセージ」による「表層対話」よりも、むしろ、「言葉以外のメッセージ」による「深層対話」の方が、はるかに重要な意味を持っているのである。