イトーヨーカ堂社長が「逆ギレ辞表」を叩きつけるまで一部始終

鈴木敏文会長に叱られて
週刊現代 プロフィール

戸井氏は早稲田大学商学部卒業後、ヨーカ堂に入社。青果など食品部門を長らく担当した後、不振だった衣料部門の立て直しに成功するなど、実績を残してきた。

営業のエースとして、収益の悪化が目立っていたヨーカ堂の立て直しを期待され、'14年に社長の座に就いたが、改革に手を付けてわずか1年半、突然の辞任だった。

ヨーカ堂生え抜きの「エース」はなぜ辞表を叩きつけたのか?

同社の元幹部が語る。

「戸井氏は人格者で、現場からの信望も厚い。社長就任時には、きっと改革が成功するという雰囲気が社内にありました。辞任の背景には、鈴木会長との確執があったことは間違いないでしょう」

新年役員会の前日に行われたヨーカ堂の店長会議の席で、鈴木会長は「成果が出なければ、惰性でやっているのと同じ。ヨーカ堂はなにも変わっていない」と改革の遅れを厳しく叱咤した。

役員会は針のムシロ

かつては、そもそもヨーカ堂がグループ内の本流で、セブン-イレブンは格下という見方が残っていた。

しかし近年は立場が逆転、セブン-イレブンは5年連続で過去最高の営業利益を記録するなど絶好調なのに、ヨーカ堂の赤字がグループ全体の収益を引き下げるという構造が定着している。前出のヨーカ堂元幹部の弁。

「最初はセブンを経営するための人材や資金を借りてきていたので、鈴木さんにとってもヨーカ堂は頭の上がらない存在でした。しかし、セブンの売り上げがヨーカ堂を抜いたあたりから『ヨーカ堂なんて売ってしまうぞ』と言い出すようになった。

セブン&アイの役員会では、業績の悪い役員は針のムシロになります。鈴木会長は『お前のところはどうなってるんだ!』と面罵することも辞さない人ですからね。

戸井氏もこれだけ大きな赤字を出したわけですから、『辞めろ』とまでは言われないまでも、相当責められたと思います」

本流として経営の立て直しを期待されて社長に就任したものの、改革に着手したばかりでは成果の出しようもない。にもかかわらず、絶対権力者である会長からは厳しい言葉が雨あられと降ってくる——戸井氏の感じるプレッシャーは並大抵のものではなかった。