箱根駅伝「青学完全連覇」を語ろう!
史上最強の秘密は常識外の「組織作り」にあった

原晋×中野ジェームズ修一×二宮清純×弘兼憲史
週刊現代 プロフィール

二宮 この商売を30年以上もやっていると、「理不尽も必要なんだ」と言う指導者に会います。僕も原稿破られたりしたことがあるから、世の中そんなものかと思ったりするけれど、「理不尽に耐える時間がもったいない」とピシャッと言ったのが青学だと思うんですよ。

 上意下達の指導はもう成り立たないと思うんですよね。もちろん、それが似合う指導者もいますから否定はしません。

弘兼 実際、原監督の指導は厳しくないのですか。

 もちろん青学も根幹には規則正しい生活、厳しい練習がありますよ。起床は5時で練習は週6日。門限は夜10時です。ただ、今の選手たちは一度も破っていません。

二宮 青学は原監督が選手と寮に住んでいるから、箸の上げ下ろしまでは見ないにしても、ちょっとした言動も見逃さない。

 やはり、学生スポーツですから、監督兼寮監として、選手、主務、マネージャーをいかに教育するかは一つの使命です。ただ、基本的には学生に任せています。

弘兼 奥さん(美穂さん)も住んでおられますよね。奥さんから「あの子は今日こうだったの」みたいな報告があるわけですか。

 不思議なことに、うちのカミさんは練習に出ていないんですけども、「今頃、A君は調子いいんじゃない?」「B君は悪いんじゃない?」というのが分かるんですね。

二宮 「彼女ができたんじゃない?」とか(笑)。

弘兼 「フラれて上の空じゃないの?」みたいな。

 青学はそういった情報も密に共有しながらやっております(笑)。

二宮 原監督の話を聞いていて、世の中を変えるのは馬鹿者、よそ者、若者、なんて言葉を思い出しました。監督は馬鹿者じゃないけれど、陸上界の土壌を変えるという意味ではよそ者であったこと、青学が新興勢力の若者だったことで新しい風が吹いたんでしょう。

 はい。ただし、実績を作るためには来年以降の箱根も勝ち続けるしかないと思います。そのうち、青学で学んだ人間たちが監督、コーチになれば、また違った陸上界になりますよ。