箱根駅伝「青学完全連覇」を語ろう!
史上最強の秘密は常識外の「組織作り」にあった

原晋×中野ジェームズ修一×二宮清純×弘兼憲史
週刊現代 プロフィール

中野 普通、ランナーは地面を蹴り上げて、坂を上っていくんです。けれども、彼の場合は、モモの前側の筋肉にグッと体重をのせて、足で運んで進んでいく。その走りを支えるためのトレーニングメニューを作りました。

 神野は毎晩9時に一所懸命、町田寮のロビーでそのメニューを黙々とやっていました。それが山の神たる所以です。

弘兼 もしかして、下りにも走りのメソッドがあるんですか。ブレーキをかけるとダメだし、前のめりになると太ももに衝撃が来る。小野田君はスーッと、ほんとに綺麗な下り方でした。

 小野田は足のバネを利かさない、傾斜に沿った走りで、天性のものがありますよね。彼は走り終わって、足の裏の皮が全く剥けてないんですよ。普通は剥けるものなんです。太ももが若干張っていましたけど、2〜3日経ったら、もうジョグをしているんですよね。

弘兼 これでこの先、3年間も6区は安泰じゃないですか。

 安泰ですね(笑)。

弘兼 それにしても、他大が往路に有望選手を起用するところ、青学は復路にもエース級がいる。選手層の厚さは群を抜いていました。

二宮 青学の選手の走りを見ていると腕の振りもいいですね。これはたぶん中野さんの功績じゃないかなと思います。

中野 私は'14年からフィジカル強化を担当しはじめて、一番に腕の振りに取り組みました。最初の練習で二人一組にしてお互いに肩甲骨を触らせたんです。すると、生徒が「中野さん、肩甲骨って動くんですね」って言う。私たちトレーナーにとっては当たり前でも、動かしたことがない生徒にとっては新鮮だったようです。腕の振りに加えて、身体の軸を安定させるためのトレーニングを入れると、一人一人のタイムが伸びていきました。

弘兼 体幹はゴルフにも必要ですよね。

中野 はい。ただ、スポーツによってそのトレーニング法は違うんです。

二宮 陸上だって短距離と長距離があるけど、カール・ルイスとアベベの鍛え方は違う。たとえが古いか(笑)。

中野 人間は肋骨と骨盤の間に空洞ができていますよね。長距離ではこの空洞部分をより少ない力でどう安定させるかがまず重要なんです。肩甲骨が自在に動き、ここが安定していれば、綺麗に効率よく走れる。そして、その外側の筋力を使って、スピードを上げていく。