箱根駅伝「青学完全連覇」を語ろう!
史上最強の秘密は常識外の「組織作り」にあった

原晋×中野ジェームズ修一×二宮清純×弘兼憲史
週刊現代 プロフィール

弘兼 私は駅伝ファンの仲間たちと特に1区、5区、6区の出走選手を予想しあいます。青学の1区、5区(神野大地・4年)は順当でしたが、6区に1年生(小野田勇次)を使うあたり、監督は勝負師ですね。

 実際、使いたかったのは昨年区間2位で走った村井(駿・4年)でしたが、ケガで使えなかったんです。ただ、小野田は夏以降の練習で故障もなく、1年生ながら上級生と同じメニューをこなしてきた。これはもうどんと来いと。

二宮 6区には原監督も警戒されていた東洋大の口町(亮・3年)がいましたね。青学が東洋に敗れて2位となった全日本大学駅伝でMVPを受賞した選手です。

弘兼 口町、いまいちだったですね。

 「口町ロケット」の6区起用はまさかでした。勢いがある選手なので、彼が4区に来たら怖いなぁと思っていましたから。東洋は3区の服部弾馬選手(3年)しかり、全体的に調整がうまくいかなかった感じがします。

山を制するメソッドがある

二宮 青学は5区の神野が本調子じゃなかった。

 神野は今出せる力は出してくれました。

中野 彼は昨年の箱根の後に、疲労骨折が2度あった。そこから復活させるために、もっとも手を掛けた選手なんです。

二宮 今だから話せるということでいいんですけど、どこが一番問題だったんでしょうか。

中野 もともと彼は体が細い。筋肉の質って持って生まれたものがやっぱりあって、たとえ同じトレーニングをさせても、久保田や2区の一色(恭志・3年)に比べて、神野は筋肉が付くスピードが遅いんです。より時間をかけて出来上がっていくタイプなんですね。復帰戦の全日本は準備期間が足りず、レース後にまた故障してしまいました。

 実は神野の出場も赤信号が点いていたんです。

アオガク箱根駅伝制覇までの4000日を描いた『魔法をかける』

弘兼 かつて山の神と言われたのは今井正人や柏原竜二のような、重戦車タイプ。ドスドスドスと上がっていく選手が有利といわれていましたよね。線の細い神野がちゃんと山登りできた理由はなんでしょうか?

 それはやはり、中野さんから教わった上り坂のトレーニングがあったからです。

中野 「神野スペシャル」ですね。

二宮 山登りのメソッドがあるわけですか。