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まさかの大ヒット! 「プリン専用醤油」はこうして生まれた

北九州市発!おもしろベンチャー最前線①

提供:北九州市 産業経済局産業政策課
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YK STORES株式会社の吉田一直社長(コワーキングスペース「fabbit」にて)

想像以上にウニの味がする!

「プリンに醤油をたらすとウニの味がする」 

そんな都市伝説を本気で実現するための醤油が昨年、話題を集めた。その名も「プリン専用醤油」。

2015年5月の発売直後、Yahoo!のトップニュースに記事が掲載されたのを機に、瞬く間にブレイク。先行販売していたバラエティショップ「ヴィレッジヴァンガード」では、当初入荷分の1000本が予約段階で売り切れ、多くの店舗で品切れ状態が続くほどの大ヒットとなった。

テレビや新聞でも取り上げられたが、その内容は「想像以上にウニの味がする」と、その完成度を絶賛するものが大半だった。それもそのはず醤油を製造したのは、福岡県北九州市にある大正2年創業の老舗醤油醸造元、株式会社ごとう醤油。同社のベテラン醤油職人が、繰り返しテイスティングを行い、プリンにかけてウニの味を出すため、特別に醸造したものなのだ。

多くのメディアでも老舗が真面目につくった商品として取り上げられたのだが、実はこの商品を企画したのは、同じく北九州市にあるベンチャー企業で、さまざまな商品の企画・販売を手がけるYK STOERS株式会社である。同社が、ごとう醤油に企画を持ちかけ、両者のコラボレーションによって誕生した。代表の吉田一直社長は、発想の経緯をこう説明する。

「ヴィレッジヴァンガードの担当者との雑談のなかで、例の都市伝説の話になったのがきっかけでした。醤油はどこの家庭にもある商品ですから市場規模が大きい。こうした遊び心のある商品が受け入れられる余地もあるだろうし、当たれば大きいと思ったのです」

「かき氷専用醤油」も大ヒット

左)かき氷専用醤油
右)プリン専用醤油

とはいえ、吉田社長に醤油業界とのパイプはない。ごとう醤油をパートナーに選んだのは、検索サイトで「醤油 北九州」で検索したところ、トップにあったからだという。

「ふざけるな、と断られるかと心配でしたが、すぐに協力いただけることになりました。ウニの味にするなら、普通の醤油では磯の香りが足りないから、配合する海鮮エキスを見直す必要がありますね、と積極的に取り組んでいただけました。おかげで、こちらはコンセプトだけ伝え、味付けなどは一切おまかせしました。丸投げですね(笑)。プロの腕を信用していますし、素人が口を出してもいいことはないですから」(吉田社長)

なんとも軽いノリだが、その軽さが受けたのだろう。「プリン専用醤油」の発売からわずか2ヵ月後の昨年7月には、ごとう醤油とのコラボ商品第2弾として「かき氷専用醤油」を投入。甘口醤油に鹿児島奄美の黒砂糖を加えたことで生まれる不思議と上品な甘味が特徴のこの商品も発売と同時に大ヒットする。

先行発売したAmazonのランキングでは、大手ナショナルブランドの商品を抑えて、食品部門で1位に輝いた。地方の無名メーカーの製品としては快挙といっていい。

まさに「醤油は市場が大きいから当たれば大きい」という吉田社長の読みが当たったといっていいだろう。

北九州市が持つ「底力」を生かす

YK STORESの設立は2015年4月。北九州市で映像ソフト卸の会社に勤めていた吉田氏が、退社後にひとりで立ち上げた。つまり、醤油はもちろん、食品を扱った経験もない。

当初は携帯端末用アプリの企画製造を手がけていたが、競争相手も多い世界で、知名度を上げるのに苦労していた。そんななか「話題づくりのため」(吉田社長)に生み出したのが「プリン専用醤油」だった。ところが、予想外の反響に、醤油の可能性を感じて、次々とユニーク醤油を発売することになったというから、世の中なにが起きるかわからない。

連続ヒットを飛ばす吉田社長のもとには商品の企画依頼の話が相次いだが、コンサルティングは同社の本業ではない。先の醤油も、YK STORESが企画を持ち込み、メーカーに製造を委託。完成した商品はYK STORESが買い取り、独自のルートで販売まで自社で行うのが、同社のビジネスモデルだ。

製造は外注するが、あくまでメーカーだ。しかも、製造を委託するのは地元北九州市の企業にこだわるのも大きな特徴である。

「北九州市には高い技術やノウハウをもっているのに知名度が高いとはいえない企業がたくさんあります。八幡製鉄(現新日鐵住金)の企業城下町として発展した伝統があるせいか、ものづくりにエネルギーをかけているのですが、その裏返しとして、マーケティングにまで力がまわらないのでしょう。そこで、売れる製品を考えて、それらの企業が全国規模で活躍できるようにするお手伝いをする。それがわが社の役割だと考えています」(吉田社長)

商品は、あくまで製造をお願いした企業のブランドを使うのもそのためだ。

日本一起業しやすい街

こうした地元企業への貢献が知られるようになっている吉田社長、地元ではかなりの有名人になってきた。「東京で同じ結果を出しても小さなヒットですが、北九州市の零細企業がやったことで、逆に注目度がアップする」(吉田社長)からだ。

最近では講演に呼ばれる機会も増えたが、北九州市が主催する「スタートアップネットワークの会」のイベントでは、昨年の6月と7月、2回連続でゲストスピーカーを務めたという。

現在、国は少子高齢化対策として地方創生に取り組んでいることはよく知られているが、北九州市でもベンチャー企業が街に活力を与えると考え、“日本一起業しやすい街”を目指してさまざまな起業支援活動を行っている。その内容は「拠点、投資、融資」の三本柱からなり、「スタートアップネットワークの会」は、それぞれの柱を有機的につなぎ、円滑なスタートアップを支える存在だ。

起業支援と聞くと補助金など資金面のサポートを連想しがちだが、同会はそれだけでは補えない部分をサポートしている。北九州市産業経済局戦略推進担当係長の安永真一郎さんが解説する。

安永真一郎さん

「近年、北九州市では世代を問わず個人のスキルと柔軟な発想でベンチャー企業を立ち上げる動きが見られるようになりました。市としてもこうした動きを歓迎していますが、彼らは起業に必要なリソースを十分に満たしているとは限りません。とりわけ不足しているのが情報です。そこで起業のさまざまな段階における必要な情報を提供し、また必要な人と人の出会いの場を提供するための仕組みとして設立したのが、『スタートアップネットワークの会』なのです」

人と人の出会いを提供すれば、自然になにかが生まれる。その結果として、まちの空気を変えようというのが、目的なのだ。

会の設立は2015年4月。設立からまだ1年未満だが、会員数は企業、個人併せて300人を超えている。入会に特別な資格はなく、起業を目指す人はもちろん、すでに起業した人、起業を応援したい人までだれでもOKだ。参加者のなかには金融機関も名を連ねているが、こうした組織に金融機関が加わる例は、ほかの地域では例を見ないという。会員になるとさまざまなメリットがあるが、会員となっている弁護士や税理士とも気軽に情報交換ができることも、そのひとつだ。

おもな活動は、月に1度、市内にある日本最大級のインキュベーション施設「fabbit(ファビット)」で開催される交流会「スタートアップラウンジ」で、これは起業に興味がある人ならば、会のメンバー以外でも参加可能。毎回、吉田社長など地元で起業した経営者や、有名ベンチャー企業経営者を招いて登壇してもらうほか、その後の懇親会では登壇者と参加者が自由にディスカッションして盛り上がっている。

コワーキングスペース「fabbit」。「それぞれに得意なスキルをもった人々が集まるので、さまざまなつながりが生まれるのはありがたいですね」(吉田社長)

「このスタートアップラウンジで大切なのは起業したい人々の気持ちにアクセルをかけること。そのためには参加者にとって、効果的でおもしろいことを仕掛けていきたい」(安永さん)

思いついたことをすぐに形にできる

実際に、「スタートアップネットワークの会」を通じてさまざまな出会いが生まれ、それが新たなビジネスに結びつく例も増えている。

YK STORESが売り出した「宇宙醤油」という商品では、プロモーションに関わるすべての写真を地元にあるテーマパーク「スペースワールド」で撮影したが、これも「スタートアップネットワークの会」が仲立ちして実現したものだ。

また、登壇したのを機にYK STORESも「fabbit」内に、新たに事務所も設置し、ここに集まっているIT系の技術者に、アプリなどの製作を依頼するケースも増えたという。

「同じ空間にさまざまなスキルをもった人が集まっているため、思いついたことをすぐに形にできるのは大きなメリットです。なにより設立間もない個人企業に不足しているのは信用ですが、『スタートアップネットワークの会』に加わったことで周囲の見方が変わりました。これは本当に感謝しています。市としてはベンチャー企業が成長して雇用に結びつけばいいのでしょうが、残念ながら私の場合、アイデアを形にするのがビジネスモデルなので、人を雇うことが難しい。だからこそ、わが社が関わった企業に仕事が増えて、そこで人を雇ってくれるよう、地元の企業のブランドづくりのお手伝いを続けていきたいと思います」(吉田社長)

YK STORESではこれからも醤油シリーズを継続する予定で、今年は「業界に激震が起きるかも知れない企画が進行中」(吉田社長)だという。

北九州市発のベンチャー企業の活躍に注目が集まりそうだ。

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