二匹目のドジョウを追うな!
〜セブン&アイCEO鈴木敏文が明かす「必勝のビジネス哲学」

鈴木 敏文

「自分たちの土俵」を作れば勝てる

バルスの髙島さんはもともとは家具メーカーに勤務していた。あるとき、「家具業界は消費者の意見が反映されておらず、プロダクトアウト(企業が商品開発・生産・販売活動を行ううえで、売り手の都合を優先するやり方)になっているのではないか」と疑問に感じるようになり、そこで、顧客のニーズに即したビジネスをしたいと考え、バルスを起業し、フランフランをオープンした。鈴木氏はその考え方に共感したという。

わたしが髙島さんのお話のなかで、もうひとつ共感したのは、従来の家具店とはまったく違った発想を大事にするため、「同業他社にはまったく目を向けなかった」ということでした。

髙島さんは、同業が何をしているかなど、まったく考えず、会社を設立してから十数年間、外部の同業の人とはほとんど会うこともなかったといいます。

自分たちの土俵をしっかりつくらないと、他社と激しい競争をしなければならない。まず、自分たちの土俵をつくることに専念して、独自の世界を探求し続ける。そして、自分たちをお客様がどう評価してくださるか、それだけを見てビジネスに取り組んだそうです。

横を見ているうちは、相手と同じ土俵で激しい競争をしなければなりませんが、「自分たちの土俵」ができれば、いたずらに競争に巻き込まれることなく、自分の頭で考えた独自性を打ち出すことができます。

(明日公開の後編に続く)

鈴木敏文 (すずき・としふみ)
セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO。
1932年、長野県生まれ。1956年、中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手の東京出版販売(現・トーハン)に入社。1963年、ヨーカ堂(現・イトーヨーカ堂)へ移る。1973年、セブン‐イレブン・ジャパンを設立し、コンビニエンスストアを全国に広め、日本一の流通グループとして今日まで流通業界を牽引。2003年、勲一等瑞宝章を受章。同年11月、中央大学名誉博士学位授与。経団連副会長、中央大学理事長などを歴任。主な著書に『朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言』、『売る力―心をつかむ仕事術』、『挑戦 我がロマン』など。

著者: 鈴木敏文、勝見 明
働く力を君に
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