二匹目のドジョウを追うな!
〜セブン&アイCEO鈴木敏文が明かす「必勝のビジネス哲学」

鈴木 敏文

「二匹目のどじょう」を狙うバカバカしさ

なぜ、自分の頭で考え、仮説を立て、答えを出していかなければならないのか。「二匹目のどじょう」が成功に結びつく時代ではなくなったからだと、鈴木氏は話す。

かつてのもの不足の時代には、柳の下のどじょうが何匹もいましたから、誰かがあそこでどじょうをとったら、自分もそこでとってみようということがありえました。しかし、いまは柳の下にどじょうが一匹いるかどうかもわからない時代です

どじょうがどこにいるのか、自分で探し当てなければならない。だから、分の頭で考え、仮説を立てる力が問われるのです。

以前、アイドルグループAKB48の総合プロデューサーとして手腕を発揮されている秋元康さんと、セブン&アイグループの広報誌で対談させていただいたときも、「柳の下のどじょう」の話題になったことがあります。秋元さんも、「柳の下にどじょうは二匹いるかもしれないが、二匹目のどじょうは小ぶり」として、こう断言されました。

「『食べるラー油』が流行ると、その次に何がヒットするかを考えるとき、『生七味』とか似たような商品の枠のなかで考えてしまいます。しかし、そのなかには大ヒットするものは、もうないんです」

二番手商法で儲かってきた有名企業もありますが、それはもう、完全に過去の話なのです。

「Francfranc(フランフラン)」といえば、20~30代の女性たちから圧倒的な支持を集めるファッション性の高いインテリア、雑貨の専門店です。経営母体のバルス(現在はセブン&アイグループの傘下企業)の創業社長の髙島郁夫(ふみお)さんと対談させていただいたときも、「脱・二匹目のどじょう」の話になったことがあります。

フランフランでは「定番」という考え方がなく、年間に3割は商品を入れ替えて、新陳代謝をはかるそうです。髙島さんは商品の改廃を行うにあたって、商品開発担当にこう指示するといいます。

現在のAという商品をAダッシュにする程度の開発は認めない。Aを必ず、Bなり、Cなりにしていくような革新を続けていかなければ、お客様に飽きられてしまうと。