大阿闍梨がみた地獄「修行をはじめた頃、亡霊と餓鬼ばかりが現れました。あれは夢だったのか、幻覚か。それとも…」

島地勝彦×塩沼亮潤 【第2回】
島地 勝彦 プロフィール

塩沼 すみません、これは冗談です。ハッハッハッハ。

シマジ なんだ、真に受けて想像しちゃいましたよ。アッハッハ。

塩沼 本当に天むすだったらうれしいんですけどね。梅干しも食べると胃を壊してしまいますので、防腐剤代わりに入っているだけなんですよ。

シマジ なるほど。うだるような夏の夜もあるんですものね。

塩沼 そうなんです。その2つのおにぎりを食べ繋いで、黙々と登って行くわけです。

シマジ 往って帰って48キロを、たったそれだけで食い繋ぐわけですか?

塩沼 いえいえ、24キロです。大峯の山頂には宿坊がありますから。

シマジ その宿坊には誰か人が住んでいるんですか?

塩沼 はい、人がいます。大峯山寺という大きなお寺がありまして、1719メートルの山のてっぺんに200人が泊まれる宿坊が5軒もあるんですよ。

シマジ へえー!

塩沼 いまはお坊さんは常時1人しかいませんで、他には宿坊のお手伝いをしてくださる方が十数人いらっしゃるだけですが、明治時代までは「講」が盛んで、字(あざ)ごとに大峯山に登る講社がありまして、近畿地方では年に一度の大峯詣りというのが流行っていたみたいです。成人したら、大峯山に登らないと一人前じゃない、というようなことで。

シマジ 江戸でいうところの「大山詣り」みたいな感じですかね。

ヒノ 落語にもありますね。たしか他人の女房を坊主にしてしまう話です。

塩沼 江戸時代には吉野から一度に1000人が登ったといわれていますし、当時は4キロごとに茶店があって繁盛していたそうですよ。百頂茶屋跡とか、五番関跡とか、いまでもその名残りはあります。

シマジ しかし、むかしの日本人は健脚だったんですね。

〈⇒第3回 大阿闍梨の少年時代

 

塩沼亮潤 (しおぬま・りょうじゅん) 大峯千日回峰行大行満大阿闍梨 1968年、宮城県仙台市生まれ。東北高校卒業後、87年に奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。91年、大峯百日回峰行満行。99年には金峯山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行。2000年、四無行満行。06年、八千枚大護摩供満行。現在は、故郷仙台市秋保に慈眼寺を開山し、住職を務める。おもな著書に、『人生生涯小僧のこころ』『人生の歩き方』『毎日が小さな修行』(以上、致知出版社)、『心を込めて生きる』『執らわれない心』(以上、PHP研究所)、『〈修験〉のこころ』(共著、春秋社)などがある。
島地勝彦 (しまじ・かつひこ) 1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)『バーカウンターは人生の勉強机である』(阪急コミュニケーションズ)『お洒落極道』(小学館)など著書多数。Webで「乗り移り人生相談」「Treatment & Grooming At Shimaji Salon」「Nespresso Break Time @Cafe de Shimaji」を連載中。最新刊『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』が好評発売中!

著者: 開高健、島地勝彦
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著者: 島地勝彦
お洒落極道
(小学館、税込み1,620円)
30代、40代の男性を中心に熱狂的ファンを抱える作家、島地勝彦氏の『MEN’S Precious』誌上での連載「お洒落極道」が、待望の書籍化!

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