大阿闍梨がみた地獄「修行をはじめた頃、亡霊と餓鬼ばかりが現れました。あれは夢だったのか、幻覚か。それとも…」

島地勝彦×塩沼亮潤 【第2回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ はじめのうちは小鳥も寄ってきませんでしたか?

塩沼 はい。ぜんぜん寄ってきませんでした。

立木 シマジだったら焼き鳥にして食っちゃおうという邪心みえみえだから、怖くてカラスだって寄ってこないだろうよ。

シマジ たしかに、この人は焼き鳥にして食べない人だと小鳥の小さな脳みそで考えて塩沼さんに親しみを感じて寄ってきたんでしょうね。

塩沼 それも行の終盤、3分の2をこなしたころでしたね。それでもやっぱりまだ山のなかだけなんですよ。俗世間に近いふもとの修業道場に降りてみると、そこにはいろんな人間関係があり、ふたたび悩みや迷いの世界に入って行きました。

「山ではあんなにわかったつもりだったのに、どうして出来ないんだろう」と自己嫌悪に陥ります。悶々としている自分がいます。それでまた次の年の行に入り、繰り返しになるんですが、最後には悟りが開けてわかってくるんですね。

繰り返し、繰り返し、同じことを情熱を持って続けていくと、解脱して悟りにたどり着く可能性が出てくるんです。お釈迦さまが仰っていますように、修行とは繰り返し、繰り返し、同じことを情熱を持ってやることなんでしょうね。

シマジ 深夜12時に出発するとき持って行くおにぎりはご自分で作るんですか。

塩沼 おにぎりだけはふもとのおばあちゃんが作ってくれます。

シマジ 何個持って行かれるんですか?

立木 いい質問だ。おれもさっきから気になっていたんだ。

塩沼 2個です。

シマジ 大きさは?

塩沼 これくらいですかね。

シマジ かなり大きいですよね。

塩沼 はい、大きめのおにぎりを弁当箱に入れて毎晩持って出ました。

シマジ おにぎりの中身はなんですか?

塩沼 梅干しが入っています。

シマジ 海苔は?

塩沼 ナシです。1つが梅干しで、もう1つが天むすです。

シマジ え、天むすですか!?