大阿闍梨が明かす、千日回峰行の苦しみ「爪はボロボロ、血尿は出る。ところがある日、不思議な感覚が芽生えてくるのです」

島地勝彦×塩沼亮潤 【第1回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ なるほど。ただ山を歩くだけじゃないんですね。塩沼さんが千日回峰行をやろうと思ったのは小学5年生のときでしたが、実際に決行したのは何歳のときだったんですか?

塩沼 23歳のときです。高校卒業後19歳で出家得度しまして、金峯山寺の修業道場に入りました。そこで4年間の小僧生活を経て、師匠の許可をいただき、ようやく山を歩く“行”に入ることができました。

シマジ いままで多くの僧侶が千日回峰行に挑戦されたと思いますが、なかには途中で亡くなられた方もいらっしゃったんでしょうね。

塩沼 おそらく長い歴史のなかではそういう方もいらっしゃるはずです。

シマジ あえて発表もしないだろうし、もしかすると記録も残っていないかもしれない。つまり「仏さま」になったということなんでしょうね。

さきほど、まだ大阿闍梨がおみえになる前、立木さんと千日回峰行のことを話していたんですが、「シマジ、お前はすぐ死んじゃうからやめとけ」といわれたんですよ。もちろんそんな大それたことをやる気は微塵もないですけど。

立木 だいたいシマジみたいな汚れた体のやつは、吉野のお山に入れてくれないよ。こうして葉巻は吸うは、パイプは吸うは、シングルモルトを毎日浴びるように飲むは・・・。そんな人間は、まずお山が裁くだろうよ。

ヒノ 大阿闍梨、ネスプレッソのお代わりはいかがですか?

塩沼 はい、いただきます。

ヒノ 今日はウイスキー抜きですから、いつもより清々しい雰囲気ですね。先月は大変でしたが。

立木 でも“清濁併せ撮る”のが難しい。大阿闍梨、今日はこいつをしっかり叱ってやってください。最近おれのいうことも聞かなくなってきて困っているんです。

塩沼 さきほどから気になって仕方がないんですが、ここに並んでいるウイスキーは凄いものばかりなんでしょう?

シマジ たいしたものではありません。これはわたしの趣味の一部です。

ヒノ シマジさんは自分のことを“ロマンティックな愚か者”といっていまして、原稿料の大部分がウイスキーと葉巻に姿を変えてしまうんです。