大阿闍梨が明かす、千日回峰行の苦しみ「爪はボロボロ、血尿は出る。ところがある日、不思議な感覚が芽生えてくるのです」

島地勝彦×塩沼亮潤 【第1回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ 英語がある程度できれば世界中で話が通じますものね。

塩沼 はい。あと、フランス語も習っています。

シマジ へえ~、フランス語までやっているんですか! それは驚きました。

塩沼 みっちり絞られています(笑)。やっぱり何歳になっても挑戦していきたいなと思っているんです。わたしはずっとそういう気持ちでいますので、千日回峰行をしたときよりも、もしかするといまの情熱のほうが上かもしれません。朝起きると「さあ、いくぞー!」という気持ちになります。

シマジ それは真面目に千日回峰行をやってこられたからでしょうね。

塩沼 はい。あのとき手を抜かなかったから、いまがあるのだと思っています。

シマジ 今東光大僧正から比叡山の千日回峰行の話は聞いて知っていましたが、じつは奈良の吉野山のほうが比叡山よりもきついらしいですね。

塩沼 そうかもしれませんね。体力的なきつさでいうと、比叡山の2日分が吉野の1日だともいわれています。

シマジ 酒井さんは比叡山のお山を毎日40キロ回っていましたよね。塩沼さんの場合はどれくらいだったんですか?

塩沼 48キロの行程でしたが、吉野の山は高低差があるのでかなりしんどかったです。

シマジ なるほど、吉野のほうが山が険しいんですね。

塩沼 標高1500メートルを超えると気温もグッと下がりますし風雨もきつくなります。いわゆる修験道の行場ですね、鎖をつたって岩場をよじ登るようなルートを含めての48キロですから、かなり厳しい道のりです。

シマジ それを1日で行って帰ってくる。しかも毎日。

塩沼 毎晩、深夜0時に出発していました。

シマジ それでお寺に戻ってくるのは夕方ですか。

塩沼 午後3時半ごろですね。そこからさらに行が待っているんですよ。掃除、洗濯から翌日のための雑事を含めて、吉野の場合は、全部自分でしなくてはいけませんから。