箱根駅伝のタブー「試走問題」にモノ申す! あの悲劇を繰り返すな

女編集者・花房麗子の「箱根裏物語」最終回
花房 麗子 プロフィール

「試走」の抜け穴

安全面を鑑みて、関東学連は箱根駅伝について「試走禁止」としている。が、近年の高速レースに試走なしで走ることなどありえない。走っていない「下見」として、コースチェックが行われていることになっている。が、私は今までに何度となく箱根山中を試走する箱根駅伝ランナーたちを見てきた。

試走は夏や秋の早朝6時ごろから7時までの間に行われている。もちろん「試走禁止」だから、大学のランシャツなどは着ていない。だが、市民ランナーと彼らとの違いはすぐにわかる。「音」が違う。

 

箱根駅伝を走る彼らは、鍛え上げられた筋肉を持つ者だけが履けるレースシューズを使っている。市民ランナーたちが履いているシューズは、地表面の衝撃を緩和するゴム底のものだが、箱根に出るようなランナーは、脚力を加速するグラスファイバー的な特殊樹脂底の靴を履く。そのため、ランニング時には「タッタッタッ」という音ではなく「カッカッカッ」と高く硬質な音が響き渡る。

山上りの選手たちは、たとえ「山の神」たちであっても、それほど速くはない。一般ランナーに比べれば圧倒的に速いが、脇を抜けていく車を追い越すようなことはない。問題は、山下りを試走する選手たちである。

全力ではないとしても、レース本番の試走である以上、5分、6分の力というわけにはいかない。山を駆け下りていく彼らは時に、客の乗降を待つ路線バスや、踏切で詰まる車の脇をすり抜けていくことになる。

上の写真はたまたま私が早朝、路線バスに乗る用事があって撮影したものである。私は彼がどの大学の誰であるかを知っているが、犯人捜しをすることは、まったく意味がない、と強くお伝えしておきたい。