箱根駅伝のタブー「試走問題」にモノ申す! あの悲劇を繰り返すな

女編集者・花房麗子の「箱根裏物語」最終回
花房 麗子 プロフィール

忘れられた碑

箱根町では、毎日「朝8時半から箱根山中にて猪の駆除を行っています」とアナウンスが流れているが、残念ながら人の多い住宅地では発砲することができず、そして、山中より町中のほうが安全なのがわかってしまったのか、人里に降りてきて子づくりに励む猪が目につくようになった。

また始末の悪いことに、彼らはコンビニなどのビニール袋のカサカサ音を覚えてしまっているのだ。「あの白い袋には食料が入っている」と覚えてしまった猪たちに標的にされ、明け方、夕暮れ、夜にと、猪にどつかれる人が続出している。

じつは私も、復路の朝、中継が始まる前に犬の散歩に出たところ、猪に出くわして「ブヒーッ」とすごまれ、泡を食って逃げ帰ったことがあった。どうぞ箱根駅伝観戦の皆様には、くれぐれもご注意いただきたい。

 

連載の最後に、ぜひ紹介しておきたいものがある。宮ノ下から少し上がった、箱根神社宮ノ下別院の前あたりにある碑である。

この碑は、箱根町の観光案内には出てこない。ネット検索してもほとんど出てこない、忘れられた碑だ。でも、この碑は箱根駅伝を語る上で避けて通れないと思う。
かすれ気味の案内板にはこうある。

「昭和31年12月11日、大学駅伝の練習中に当所で交通事故のため亡くなった専修大学の小山国夫選手を悼んで建てられたものです」

裏面には小山選手のお母さんの哀悼の言葉がある、と書かれているが、背面に回っても苔むしてしまってもう読めなかった。

試走中に事故死した専修大学・小山国夫選手の追悼碑。その碑の脇を走る路線バスとの空間は、現在でも30cm程度しかない

箱根駅伝には、公然の秘密がある。それは、試走のことだ。