「テロに気をつけろ」と言われても、何を、どう気をつければいいの?

自分の身は自分で守るしかない
菅原 出

また脅威分析やリスク評価を通じて、テロ以外にも犯罪の傾向や警戒が必要な危険な場所についての情報が収集できるはずだ。企業としては、こうした情報を基に、犯罪が多発するエリアを「立ち入り禁止区域」と設定したり、「夜七時以降はこのエリアには行かない」といったルール設定をして、赴任者に守らせることが必要になる。

赴任者に周知徹底させるために、「立ち入り禁止区域」をマッピングした地図や、行動に関する約束事を明記した「渡航のしおり」などを作成することが望ましい。
「しおり」には緊急事態発生の際の連絡はどこにすればいいのか、救急医療機関、警察や日本大使館の連絡先等も明記しておく必要があるだろう。

また赴任者が空港に到着したら送迎は誰がどのように行うのか、出迎えの者とはどのように連絡をとるのか、移動はどうするのか、どこで誰に必要な連絡を入れるのか等の手順についてもセキュリティの観点から綿密な計画を立て、「しおり」に記載しておくとよい。

こうした面倒だが当たり前のことに地道に取り組むことが、有効なテロ対策になる。

【*本記事は菅原出『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』からの一部抜粋です】

菅原 出(すがわら いずる)
国際政治アナリスト、危機管理コンサルタント。1969年東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒業。アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒業。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国系危機管理会社G4S Secure Solutions Japan役員を経て現職。米国を中心とする外交、中東の安全保障やテロリズム、インテリジェンス研究が専門で、米国、アフガニスタン、パキスタン、イラクと世界中を駆け巡る。