日本でも必ず起こる
テロに遭遇! その瞬間、どう行動するのが「正解」か

何が生死を分けるのか
菅原 出

外務省は、毎年海外で死亡した日本人の統計を発表している。2013年に海外で死亡した要因の第1位は「疾病等」(約70%)である。二番目に多い理由は、何と「自殺」(約10%)だ。テロでこの年に亡くなったのはイナメナス事件で被害に遭った10名で、死亡者要因のランキングでは第六位、全体の約1.6%に過ぎない。

その約1.6%のテロ・リスクにしても、これまで説明してきたような対策を地道に実施することで、確実にリスクを下げることができる。過剰に恐れる必要はないのだ。

ISの脅威は今後何年も続く。ISの勢力は中東やアフリカに拡大し、先進国でも「一匹狼型」のテロは頻発するだろう。世界は無極性の時代に突入し、構造的に不安定になっている。その中で、ISが台頭し、拡大する機会が訪れているのだ。

しかし、ISはイラクやシリアでは都市を占拠することができても、先進国では支持者を洗脳して乱射事件を起こさせるくらいしかできない。そうした乱射事件に運悪く遭遇する確率は、日本で交通事故に遭う確率よりも低いのが現実だ。

我々は今後、ISの脅威と長い間付き合っていかなければならないが、かといって彼らを過剰に恐れ、自分たちの行動を控える必要はない。

我々は、不断の情報収集・分析と、日々の地道なセキュリティ対策の積み重ねで、テロのリスクと向き合い、この不安定な世界を生き抜いていかなければならない。

【*本記事は菅原出『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』からの一部抜粋です】

菅原 出(すがわら いずる)
国際政治アナリスト、危機管理コンサルタント。1969年東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒業。アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒業。国 際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国系危機管理会社G4S Secure Solutions Japan役員を経て現職。米国を中心とする外交、中東の安全保障やテロリズム、インテリジェンス研究が専門で、米国、アフガニスタン、パキスタン、イラ クと世界中を駆け巡る。