『ハウス・オブ・カード』の衝撃〜ネットフリックスのオリジナルコンテンツ戦略がすごい

西田 宗千佳 プロフィール

同じように、この動きは、アメリカの放送業界にもインパクトを与えている。

アメリカでは、全世帯の6割がケーブルテレビに加入し、有料放送を楽しんでいる。しかし、ネットフリックスに代表されるSVODの普及は、ケーブルテレビに毎月数十ドル支払うのがあたりまえ、という考え方を払拭しつつある。

ケーブルテレビの契約を止め、ネットフリックスなどに切り替える人びとは「ケーブルカッター」「コードカッター」などと呼ばれており、ケーブルテレビ事業者にとっては、彼らのつなぎとめが大きな課題になっている。

アメリカの調査会社ニールセンの調査では、2014年末の段階で、アメリカでケーブルテレビを使わずにテレビを見ている人びとは、2013年末にくらべ100万世帯増え、1230万世帯になった。増加分の多くは、いわゆる「ケーブルカッター層」と見られている。

また、アメリカの人口増を支える低所得の移民層にとって、ネットフリックスなどのSVODは、ケーブルテレビよりもずっと安い、リーズナブルなエンターテインメントとして支持されている。

ネットフリックス関係者は、ことあるごとに「我々は放送を置き換えようとしていない」と話す。ニュースやスポーツ、バラエティのようなリアルタイム性の高いものは放送に向いており、ネットフリックスも手を出していないからだ。

しかし、映像を楽しむためのコスト構造の違いは、確実に、着実に放送にも影響を与えている。

だからこそ、ネットフリックスはここまで騒がれるのだ。

【*本記事は西田宗千佳『ネットフリックスの時代』からの一部抜粋です】

西田 宗千佳(にしだ むねちか)
1971年福井県生まれ。ネットワーク、IT、先端技術分野を中心に活躍するフリージャーナリスト。著書に、『漂流するソニーのDNA』(講談社)、『暗 号が通貨(カネ)になる「ビットコイン」のからくり 』(共著、講談社)、『スマートテレビ』(アスキー・メディアワークス)、『iPad VS. キンドル』(エンターブレイン)、『リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ』(TAC出版)、『世界で勝てるデジタル家電』『クラウド・コンピューティング』(以上、朝日新聞出版)などがある。小寺信良氏 との共同発刊メルマガ「小寺・西田の『金曜ランチビュッフェ』」を毎週金曜日に発行中。