『ハウス・オブ・カード』の衝撃〜ネットフリックスのオリジナルコンテンツ戦略がすごい

西田 宗千佳 プロフィール

「ハウス・オブ・カード 野望の階段」は、ネットフリックスが企画とプロデュース、そして出資の一部を担当し、実制作をソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が担当し、制作費の面でも制作体制の面でも、既存のテレビドラマに勝るとも劣らないかたちで作られた。

それがエミー賞を受賞したということは、もはやコンテンツ制作能力において、放送局や独立系映像制作会社とネット企業のあいだに差がないことを証明したことになる。

コンテンツ制作に6000億円投資する

その後、ネットフリックスは、レンタルビデオ型のカタログ作品調達と同時に、オリジナルコンテンツ制作へと、さらに力を入れはじめる。

2015年夏現在、同社は200を超える作品の制作とネットでの独占配信に出資しており、日本上陸に際しても、オリジナルコンテンツの存在を軸にアピールをおこなう。

「2016年には、オリジナルコンテンツ制作に全世界で50億ドル(約6000億円)を投資する」とヘイスティングス(ネットフリックスの創業者)は宣言する。これだけ大きな額を使う理由は、全世界で同じコンテンツを提供するためである。

通常、映像などのコンテンツの配信権は国ごとに許諾される。例えば、アメリカで契約している人が日本に来た場合には視聴できないし、日本で契約した人が海外に行っても、視聴できないのが通常だ。

しかしネットフリックスは、自社が出資したコンテンツについて、世界中どこでも、契約者であれば視聴可能にしている。

皮肉なことに、ネットフリックスの象徴とされる「ハウス・オブ・カード」は、2015年9月現在、日本のネットフリックスから見られない。彼らは「全世界での配信権」を得られなかったからだ。

現在はその失敗から学び、全世界で同じコンテンツを配信できるよう、可能なかぎり権利を得ようとしている。コンテンツ制作者から見れば、その方が市場規模が大きくなってプラスだし、ネットフリックスとしても、世界中でアピールする武器が増えることになる。