ネットフリックスが起こす現在進行形の革命〜「見放題」時代のテレビ、覇権を握るのは誰か?

西田 宗千佳 プロフィール

ネットフリックスは、「4K」での映像配信を開始している。

テレビの場合4Kとは、現在主流のハイビジョンテレビ(1920×1080ドット)の4倍の解像度、3840×2160ドットのことを指す。横解像度がおおむね4000ドットあることから「4K」と呼ばれている。一方、ハイビジョンテレビについては、横解像度が2000ドットに近いことから「2K」と呼ばれることも増えている。

ディスプレイにおける表示ドット数の量は、精彩で忠実な色再現性をめざすうえで重要だ。特に2014年以降、次世代のより美しいテレビとして、2Kの高級モデルは姿を消し、4K対応テレビの人気が高まっている。

50型以上の大型テレビにおいては、4Kパネルを使った表示は発色・精彩感の両面で優位性が高い。そのため2015年現在、比較的大型で高付加価値型のテレビについては、4Kモデルの比率が上がっている。日本の場合、50型以上での4Kモデル比率は47パーセントを超えたという(家電マーケット調査会社BCNの2015年6月の調査より)。

一方、4Kテレビを悩ませているのが「コンテンツ不足」だ。現状、4Kテレビでは「実際に4K解像度の映像を見ている」シーンはごく少ない。なぜなら、放送での対応に時間がかかるためだ。

そのため4Kテレビは、ブルーレイディスクや衛星放送などの「品質のよい2Kコンテンツを、より美しく見る」ための機器として使われている。韓国で2013年から、日本でも2014年6月から、衛星放送を中心に試験放送がおこなわれているが、あくまで「試験放送」の域を出ない。衛星放送では2018年から本放送が始まるものの、地上波においては、4K解像度での放送の計画はない。

放送システムの整備には、技術だけでなくコストもかかる。地上波のような基幹放送の置き換えには20年以上の時間をかけてじっくり臨む必要があるが、日本ですら、現時点ではその計画がない。諸外国はさらに状況が厳しく、4Kパネルと家電各社の技術を活かしきれる映像ソースがない、という状況に置かれている。

前置きが長くなったが、これこそが、ネットフリックスがテレビメーカーから重宝される理由である。

ネット配信の場合、放送のように巨大なシステムを運営することにくらべれば、ずっと簡単に4K配信ができる。しかも4Kだけでなく、もっと違った要素を盛り込むことも難しくない。

現在家電業界では、映像の明るい部分・暗い部分の表現力を高める「HDR」という技術の開発が進められている。4KとHDRがセットで使われると、精彩なだけでなく、より実景に近い「きらめき」を持った映像が実現できる。これらの要素は、4Kテレビの付加価値を強固なものにするためのものである。

ネットフリックスは、ネット配信の強みを最大限に活用し、放送や光ディスクが新技術を採用し、普及させる前から配信に使う。彼らとパートナーシップを組むことは、4Kテレビを拡販するうえで重要な意味を持つ。貴重な4Kコンテンツを、高い支持を受けているサービスから調達できることになるからだ。