ネットフリックスが起こす現在進行形の革命〜「見放題」時代のテレビ、覇権を握るのは誰か?

西田 宗千佳 プロフィール

支持されたのは、操作のシンプルさだけが理由ではない。支払い方法も恐ろしくシンプルだ。

ネットフリックスの支払いは月額固定制。アメリカの場合、最低7.99ドルですべての映像が見放題になる。何本、何回見ても追加料金は発生しない。日本の場合には650円(税別)からで、画質や同時視聴可能な端末の数により3つの料金バリエーションがある。こうした定額制のVODを、サブスクリプション(定期購読)型ビデオ・オン・デマンド、通称「SVOD」と呼ぶ。

テレビのなかにレンタルビデオ店が現れたような存在。それがネットフリックスだ。2007年にいまのかたちでのビジネスをスタートすると、アメリカ市場では熱狂的に受け入れられた。2015年6月末の、アメリカでの会員数は約4230万人。世帯普及率でいえば約35パーセントにあたる。

そうした数のインパクトは、インターネット網の利用量にも反映されている。統計によってもデータは異なるが、現在アメリカでは、プライムタイムには、インターネットを流れるデータ量の30パーセントから35パーセント程度が、ネットフリックスから家庭に送られる映像データの配信に使われているという。この値は、ビジネス、ネットショッピング、音楽、ゲームなどあらゆる種類の、あらゆる機器での通信を総合してのものだ。

家庭の4割が契約し、ネットのデータ量の4割近くを占める、テレビ放送と並ぶ巨大なエンターテインメント・ネットワーク。それこそが、ネットフリックスの正体である。もはやアメリカでは、ネットフリックスがないテレビは考えられない。

アメリカでのテレビのネット接続率は、家電メーカーからの情報を総合すると、おおむね70パーセントから80パーセントのあいだと見られている。その目的は、ほとんどがネットフリックスに代表されるSVOD、もしくはYouTubeの利用である。テレビメーカーとしても、ネット配信の巨人として、ネットフリックスの価値を無視しえない状況にある。

4Kコンテンツ対応で放送に先行

テレビメーカーがネットフリックスを重視する理由は、テレビ視聴におけるネットフリックスのニーズの高さに加え、コンテンツ配信の面で先端を走る存在でもあるからだ。