外国人が絶句する日本の家族習慣〜父親が幼い娘と一緒に風呂に入るなんてアリエナイ!

鴻上 尚史 プロフィール

「子供をぐっすり寝かせるためには、親と一緒じゃない方がいい」と主張したフランス人女性もいました。川の字になって寝ると、親が寝返りを打ってぶつかり、起きるかもしれない、と言うのです。

「じゃあ、同じ部屋で子供用のベッドで寝かせばいいんじゃない?」と返すと、「親のイビキとか寝言で起きるかもしれない」と反論しました。

だから一人で別の部屋で寝かせた方がいい、という主張です。子供の淋しさは問題外のようでした。

一方で最近、アメリカでは「co-sleeping(一緒に寝ること)」が流行り出しています。子供と一緒に寝た方が子供とのスキンシップが充分に取れて、子育て上も教育上もいいんじゃないかという流れです。

子供時代、夜起きて怖かったというトラウマを持つアメリカ人たちが飛びついたのかもしれません。

番組には、ご意見番と呼ばれるゲストを呼びます。この回は、作家の荒俣宏さんでした。荒俣さんは「日本人が川の字になって寝る理由は、ただひとつ、『家が狭い』からです」と喝破されました。それもあるのでしょう。家が狭く、家族でぎゅっと集まるから、親子一緒に寝るのが自然なのかもしれません。

どちらが正しいという問題ではなく、なにを大切にしているか、の違いかもしれません。西洋では、子供の淋しさより、まずは夫婦関係を大切にしているのです。東洋では、夫婦の営みより子供を淋しくさせないことを重要だと思っている、ということでしょう。

ちなみに、「親子一緒に寝ること」を、アメリカ人が受け入れ始めていると書きましたが、「家の中で靴を脱ぐ」という習慣を受け入れている西洋人も増えてきました。

じつは、日本だけではなく、韓国、インドネシア、マレーシアなども家の中では靴を脱ぎます。西洋社会でも、「なるほど。どう考えても、この方が圧倒的に清潔だよな。寝室まで靴を履いて入るってどうなのよ」と思い始めたアメリカ人やヨーロッパ人が増えてきているのです。もともと、フィンランドなど北欧では、靴を脱ぐ人たちが多いようです。

アジアを知った西洋人が、靴を脱ぐ清潔さと快適さに気づくのです。友人が遊びに来た時に、親しい相手だと「悪いけど、靴、脱いでくれない?」と頼みます。

その時、日本人が明治時代に発明した「スリッパ」を代わりに差し出す西洋人もいます。スリッパは、靴を履いたまま日本家屋に上がってくる西洋人に対して「靴の上からこれを履いてください」と日本人が開発したものなのです(ですから、英語のslipperと日本語のスリッパは違います。英語のタイプは日本で言うサンダルに近いものです)。