朝日新聞「驚きの敗訴」で見えたカジノビジネスの「光と闇」

北島 純 プロフィール

カジノビジネスの大きな落とし穴

まさに、これがカジノビジネスの大きな落とし穴になる。カジノビジネスに従事するのであれば、たとえ「賄賂」ではないのは当然としても、説明がつかないような「利益供与」を行ったとしたら、いや不明朗な「利益供与を行ったと疑われた」だけで、ビジネスは暗転しかねないのだ。

中国・習近平政権による徹底した汚職撲滅運動によって、収賄で財産を蓄えた公務員の客足が遠のき、マカオのカジノ売り上げが激減したのは記憶に新しい。また、日本でも都知事の交代を一つの契機にして、いままで盛んだった「カジノ熱」が冷え込んでいる現状がある。

このような中、従来のように「景気回復のために統合型リゾート(IR)を誘致しよう」といった日本のビジネスプランはいささか心もとない。カジノのような許認可が山のように生じるビジネスで、「利益供与」にかかわるコンプライアンスを確保することは容易ではないからだ。

朝日新聞対UE社の訴訟からは、こうしたカジノビジネスの難しさが透けて見える。華やかなエンターテインメントとしての魅力の脇には「闇」がすぐそこに広がっている。そのような闇に足を絡め取られないようにする為に、カジノビジネス特有のコンプライアンス対策を練り上げることが必要であろう。

北島純 一般社団法人経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員。東京大学法学部卒業。内閣官房長官、自民党経理局長等の秘書を経て、2013年からBERCで「外国公務員贈賄罪研究会」を担当。著作に『解説 外国公務員贈賄罪』、「中国における贈収賄罪の構造と日本企業のリスク対策」(中央経済社)など