朝日新聞「驚きの敗訴」で見えたカジノビジネスの「光と闇」

北島 純 プロフィール

カジノとテロリスト

カジノは、「金」を賭けて「金」を得るエンターテインメントである。「運」が良ければ100万円が簡単に1000万円に化ける。その圧倒的な直接性と興奮惹起性ゆえに、カジノ(賭場)は古来より時の権力によって厳しく規制されることが多かった。

そのため、公権力によるビジネスへの介入の度合いが他の遊興と比較にならないほど高い。したがって、公権力に対する「賄賂」あるいは組織的犯罪集団の「庇護」が発達する余地が大きい。

そうならないようにするために、現代では、カジノビジネスほど高度のコンプライアンス(法令遵守)が求められるものはないと言えるぐらいである。

例えば、ラスベガスではネバダ州ゲーミング委員会(NGC)が厳しくカジノビジネスを監督しており、カジノ事業者はライセンスの取得と保持にあたって「誠実性」などの高度な要求を充たさなくてならない。

ビジネス・パートナーの「背中を刺す」のに、外国公務員への「贈賄」を理由とする調査報告書を使うという狙いがあるならば、それはまさにカジノビジネス特有の現象と言えるだろう。

さらに、現代では、カジノビジネスは不正な資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になりやすいとして、国際的に厳しい監視の目が向けられるようになっている。

実際、政府間協議機関であるFATF(金融行動タスクフォース)の勧告でも、カジノは「擬似金融機関」と見なされており、マネーロンダリングとテロ資金対策のために、免許制の導入、個人の本人認証、当局への報告義務等の厳しい要件が課せられている。

特に、IS等のテロ対策として、テロリスト集団の「資金源」を断つことの重要性が近年、強く認識されるようになってきており、テロ資金を洗浄する格好の舞台となりうる大型カジノは、かつてないほど高度のコンプライアンスが求められるようになってきている。