訪日外国人が思わずうなる「ニッポンの食」〜駅弁・調理パン・ラーメン……その意外な高評価のワケ

鴻上 尚史 プロフィール

エンタテインメント性の高い回転寿司

日本ならではのグルメでは、「回転寿司」が有名です。すでに世界に広がっていますが、回転寿司はエンタテインメント性が高いので、海外では普通に売っている寿司より高価になる傾向があります。

安い寿司を簡単に手に入れようと思ったら、海外ではスーパーで買うのが一番です。ただし、そこに並んでいるのは「寿司になろうとしている何物か」ということも多いです。それから、日本人ではない、他のアジア人が経営している寿司レストラン・寿司バーもたくさんあります。

ロンドンに留学していた時「安くて美味しい寿司バーを見つけたから、ショウ(僕のことです)一緒に行こう」とクラスメイトのイギリス人に誘われて行ってみると、見事に日本人ではないアジア人が作っていました。当然、味は微妙に違いました。でも、イギリス人にはこの違いは分からないよなあと思いながら、食べました。

目の前で調理するシステムを外国人は喜びます。炉端焼きや寿司、天ぷらなど日本ではこのシステムのお店がたくさんあります。けれど、西洋ではこのスタイルは珍しいのです。

「隠すことがなにもないからこうしているんでしょう」「料理人のプライドを感じるわ」「作るのを見るのは、とてもエンタテインメントだ」と、外国人は言うのです。

なんでも日本流にアレンジ

アイスコーヒーのような日本で変化した食品としては、「スパゲティ・ナポリタン」や「オムライス」があります。

スパゲティ・ナポリタンは、番組に参加したイタリア人たちはじつに嫌な顔をしました。ナポリとなんの関係もないし、第一、イタリア人が嫌悪するケチャップベースだからです。ケチャップは、味音痴のアメリカ人が好むものだと(多くの)イタリア人は思っているのです。トマトソースのスパゲティとケチャップベースのものはまったく違うと、イタリア人は主張します。

イタリア人には申し訳ないですが、日本人はスパゲティ・ナポリタンが大好きです。そして、当然かもしれませんが、多くのアメリカ人にも評判がいいです。

番組では、イタリア人と結婚した日本人に、イタリアでスパゲティ・ナポリタンを作って、イタリア人に食べてもらうという実験をしました。「ナポリとはなんの関係もないけど、これはこれで美味しい」と反応していたイタリア人たちは、材料にケチャップが使われていると聞いた瞬間、眉をひそめました。そして、「これはスパゲティではない」と口々に言いました。

日本人が作ったスパゲティですから、国際親善をかねて、美味しいとリップサービスをカメラの前でしていたのかもしれません。が、「ケチャップ」という単語が出ては、どうしても認めることができなかったのでしょう。