ヤクザと芸能界、全部バラすぞ!なべおさみが見た昭和の大スターたち

独占スクープ!その実像とは…
週刊現代 プロフィール

ある年の年末。紅白歌合戦のリハーサル時の出来事です。

私は当時付き人をしていた水原弘(1959年、第1回日本レコード大賞受賞。'65年に暴力団による花札賭博に関与したことが発覚して芸能界追放。'67年にカムバックし、紅白歌合戦には通算10回出演した)について楽屋に行きました。

楽屋に入った水原が、

「こら! てめえら何その気になってやがる! この方々が立っているのが見えねえのか!」

と一喝しました。

 

楽屋では三波春夫さん、村田英雄さん、三橋美智也さんら名だたる大先輩が立っていました。にもかかわらず、数人の若手歌手が椅子に座ってダベっていたのです。当時の若手とはいえ、紅白に出ていたくらいだから、名にし負う人たちです。立っていたのは、大御所ではあるものの、時の人とはいえない方々ではありました。

けれど、水原は若手を怒鳴りました。先輩を前に何をしているんだ、と。

水原の振るまいが、本来の芸能界の正義であり、筋の通し方だったのです。目上の人を敬う。それは、芸能界でなくても堅気の社会でも同じではないでしょうか。

しかしヤクザな稼業の芸能界がサラリーマン化して、筋の通し方を忘れて「ハンチク」をやり出してしまいました。その影響か、または時代の変化なのか、いつしか堅気が「ヤクザな行い」をするようになりました。

大企業の不正会計事件や建設業界全体に広がった杭データの偽装問題、テレビ番組のやらせもそう。誰も筋を通さないし、そこには正義もありません。一方の本物のヤクザは急速に力を失っています。いまニュースを見ていると、どちらが表か裏か分からなくなってしまいました。

僕が大好きだったヤクザな人たちを思い出すと、堅苦しい世のなかになったなあとつくづく感じます。