ヤクザと芸能界、全部バラすぞ!なべおさみが見た昭和の大スターたち

独占スクープ!その実像とは…
週刊現代 プロフィール

もともと文太さんは日本で最初のプロの男性ファッションモデルの一人で、VANの創業者・石津謙介さんが可愛がっていたモデルでした。

「文ちゃんはモデルで終わる人間じゃないよ」

石津さんはよくそう話していました。

私は石津さんに言われて、事あるごとに酒や食べ物を文太さんのアパートに届けました。その時代を知っている芸能人は少ないので、文太さんは何かにつけて「なべ」「なべ」と私を重宝してくれたものでした。

 

『仁義なき戦い』と並ぶ文太さんの代表作と言えば『トラック野郎』シリーズです。今年7月。茨城県大洗海岸大洗港に640台のデコトラが集まりました。全国のトラック野郎による文太さんと愛川欽也さんの追悼会でした。

いまも『トラック野郎』が愛されているんだなと実感したのと同時に、トラック運転手の世界の「ハレ」と「ケ」を思いました。

運送会社の正規社員のトラック業を「ケの世界」の稼業とするなら、ここにも「ハレの世界」の「トラック野郎」たちがいるわけです。会社の従業員になれば、安定して月給をもらえるし、身分が保障されます。しかしなかには、しがらみのなかで生きることをヨシとしない人間もいます。決まりだらけの制約のなかに身を置くことが性に合わない人たちです。

本来、芸能界はそうしたヤクザな人たちばかりが集まった場でした。

かつて芸能界に給料や身分を保障された人間なんて一人もいませんでした。芸能人だけではなく、映画会社、劇場、興行などに関わる人たちはすべて叩き上げの「ヤクザな人」たち。

しかしテレビが主流になったときに、『仁義なき戦い』を生んだような芸能界の黄金律が崩れてしまいます。

芸能界から「筋」が消えた

テレビはなんの経験もしていない大卒のエリートが作るわけですから、下積みがまったくありません。ヤクザの稼業だった芸能界が、サラリーマン化して、堅気の仕事になってしまったのです。

当初のテレビは、映画界で用いられる俳優のランクをそのまま利用しました。簡単にいえば、映画で客を呼べるスター俳優ほど高額なギャラを支払われていたのです。しかし徐々に芸能人の格や実力、実績に関係なく、売れている若手を使えばいいという考えになっていきました。

テレビが芸能界のしきたりを変えた結果、何が起きたか。

芸能人が貫いた正義の形、芸能界で慣習になっていた筋の通し方が通用しなくなってしまったのです。私はそれを象徴する現場を目撃した経験があります。