先進国を狙う新型テロ「サイバー・パールハーバー」の脅威!

山田 敏弘 プロフィール

破滅的結果をもたらしかねない

サイバー攻撃というと、多くの人は個人情報漏えい(最近の日本なら年金機構やマイナンバーで話題になった)や、銀行口座情報を盗まれるといった犯罪行為をイメージするのではないだろうか。だが世界各国が主眼を置くサイバー攻撃というのは、もはやその次元を超えている。

サイバー・パールハーバーとは、国家の安全保障を揺るがすような大規模な攻撃のことをいう。米軍やホワイトハウスなどがサイバー攻撃で機能不全に陥れば、米政府の中枢は崩れかねない。さらに電力や水道、鉄道といった基幹インフラに対する大規模な攻撃が起きれば、政府だけでなく国民の生命・財産を危機に晒すことになる。

1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災など、インフラの機能不全がもたらす混乱はご記憶のことだろう。主要都市部で電力が止まったり、鉄道網が破壊されたり、はたまた原子力発電所が機能不全に陥れば破滅的結果をもたらしかねない。こうした標的への大規模な攻撃が「サイバー・パールハーバー」と呼ばれているのである。

この言葉が一般にも知られるようになったのは2012年のことだ。当時の米国防長官、リオン・パネッタが、「サイバー・パールハーバーは現実の被害や人命の喪失の原因になり、国家を麻痺させ、これまで感じたことのないような重大な脆弱さを生む攻撃」であると言及し、物議を醸したからだ。

パネッタは続けて、「攻撃側の国(=攻撃を仕掛けてくる恐れのある国)、または過激派がサイバー攻撃で重要なインフラの切り替え装置などを支配」し、例えば、「最悪のケースでは致死性の化学薬品を積んだ列車を脱線させる可能性もあるし、都市部の水道を汚染したり、国内の大部分で電力を停止させることもできるである」と警告した。

パネッタの言う「攻撃側の国」とは、言うまでもなく、アメリカと敵対する中国やロシア、イランや北朝鮮である。こうした国々は虎視眈眈とアメリカのインフラやネットワークへの侵入を狙い、実際に深く入り込んでいる。

たとえば中国が、アメリカや日本など欧米諸国に際限ないサイバー攻撃を繰り返してきたことは改めて指摘するまでもないだろう。ある米IT企業の研究によれば、中国は少なくとも世界各地の2万4000のドメインを拠点としてアメリカへのサイバー攻撃を行っているという。