「携帯電話を持たない」生き方
〜手放してみて初めてわかったこと

小川 糸 プロフィール

返信をそれほど急がない連絡はメールでいただきますし、急ぎの件であれば固定電話にかかってきます。出かけているときは、私は何らかの「外出の用事」をこなしているか、ひとりで歩きながら思索にふけりたいかのどちらかなので、電話は必要ないと割りきっています。

緊急で電話をかけなければならないときには公衆電話を探したり、どうしても困ったら買い物先でお店の電話をお借りしたりしています。外で待ち合わせをするときには相手の連絡先をうかがっておいて、万が一お会いできないときは公衆電話から連絡します。

今日は遊びにきた友人にランチでクレソンと若竹入りのカレーを振る舞う。会って語り合うことの充実感は大きい

情報からあえて「離れる」決意 

わざわざ説明していますが、こういう生活、ほんのひと昔前は普通だったのですよね。それがいつの間にか、携帯電話があっという間に普及するとともに、私たちの生活の基本形が一変してしまったのです。無意識のうちに。

この「無意識のうちに」というのが、私が怖いなと思う点です。

生き方や暮らし方は、本来は自分自身で選択していくもの。時代の流れや「みんながそうだから」という理由だけで決めたくない。そう思います。

「いつでもつながる」という安心感は、一方で「甘え」にもつながるのではないかとも思います。

携帯電話を持たずに外に出ると、地図の検索はできませんし、「ちょっと遅れます」という連絡も簡単にはできません。ある意味、緊張感が生まれるのです。だから、事前によく調べてから出かけるようになりますし、約束に遅れないように早めに家を出るようにもなります。