「マタ旅」は危険!無保険の出産は4000万円程かかる

荻田和秀×坂本美雨 『コウノドリ』特別対談
荻田和秀, 坂本美雨

荻田: ダンナをチームに取り組む、ちょっと悪い言い方をするとリソースとして使わないと、現代社会ではやっていけないですよ。働くお母さんも多いですし、おばあちゃんがそばにいるわけでもないでしょ。イクメンとまではいかなくても、ダンナも出産や育児のことを理解しておかないと。そう思って『嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本』を上梓したんです。

坂本: 先生の著書もすごく勉強になりました。この本をダンナさんに最初に渡したらいいですね。男性にも読んでほしいし、女性自身も知らないことがたくさんあると思います。

「マタ旅」は赤ちゃんが人質状態になる

坂本: お産のときだけじゃなくて妊娠中もずっと、常にリスクがあって、命がけなんだ、ということを私自身も知りませんでした。たとえば、「マタ旅」(マタニティ旅)というのが流行っていて、夫婦2人で過ごせる最後の時間を楽しむために妊娠中に旅行する人が多いみたいで。新婚旅行をしていなかったので私もマタタビしたいなあと思っていたんですが、『コウノドリ』を読んでやめました。

荻田: その気持ちもわかるんですが、母子にはとても危険な行為です。実際に4〜5年前、石垣島の産科医に聞いたんですが、石垣島での「未受診妊婦」は年間26件ほど、つまり石垣島に旅行に来て出産した人たちの数です。沖縄の県立病院は年間60件とか、リゾート地で出産する人たちは多いんです。

お母さんとお父さんが怖い思いをするのは自業自得ですが、産まれてくる赤ちゃんは人質状態ですよ。飛行機の中とか、産科医がすぐに対処できない場所では命の危険が高まりますから。

坂本: 『コウノドリ』でもシンガーの方の海外出産が取り上げられていましたよね。私もNYで育っているので、海外へ行くことも考えました。でも保険とかどうするんだろうと思って……。

荻田: 1億円というのは都市伝説ですが、保険がきかないとそれなりにお金はかかりますよ。ちょうど半年前に、モンゴルの方が北京にいて、双子を授かっていたんですが、中国は一人っ子政策だし、これはあかん!と24週で日本に脱出してきたんです。うちの病院で出産したんですが、赤ちゃんは重症でNICUに入りました。保険がなくて、出産から退院するまでに4000万円くらいかかったと言っていましたね。