世田谷一家殺人事件〜実行犯は今、次なる「超大物」ターゲットを狙っている

独自取材でたどり着いた驚愕の事実
一橋 文哉

新たな標的は……

この二人の名を聞けば、今年8月末の山口組分裂問題が浮かぶ。

司忍(本名・篠田建市)六代目組長の出身母体・弘道会中心の執行部へのカネと権力の集中に反発し、山健組など老舗13団体約3000人の組員が離脱。新たに神戸山口組を設立し、組長に井上組長が就任、浪川会長は有力支援者の一人だ。

山口組結成100周年、司組長就任10年の節目の年に、同じ山菱の代紋を掲げる組織がヤクザ界に二つ存在するという前代未聞、驚愕の事態が生じている。

「実は、分裂の原点は08年のクーデター未遂事件にあるんや」

大阪府警幹部は、そう明かす。

それは、前出の後藤組長処分に異を唱え、執行部のカネと人事問題を批判してクーデターを起こそうとしたとされる直系組長十三人が、高山若頭に処分されたり引退に追い込まれた事件である。

後藤元組長は首都圏の縄張りと利権の多くを弘道会系組織に奪われただけに、分裂問題の“陰の主役”と見る捜査関係者は多い。

実際、公安当局は引退後の後藤元組長の動向をマークしている。カンボジアで後藤元組長を監視する公安関係者は言う。

「後藤元組長の下には日本を追われた暴力団幹部や企業舎弟、半グレなどが出入り、闇社会の国際ネットワークの拠点になっている。華僑人脈を通じ中国人ヒットマンの派遣も担っているんだ」

李はバンコクを拠点に活動していた時期があり、知人の暴力団関係者を通じて後藤元組長と知り合ったと見られている。

「外国人暗殺者を調達するには今や、カンボジアは欠かせない拠点だ。別件で派遣要請した時、李の名前が出てきたことがあったな」。『餃子の王将』社長射殺事件で名前が浮上した関西の暗殺請負派遣業者は、そう明かす。

「今回の来日はカンボジアが出発点やし、李に指示を出して日本に送り込んだんは後藤元組長周辺と見て、間違いないやろう」

そう語るのは瀬戸。こうも言う。

「そうなると、李の標的は司組長の可能性が非常に高くなったと言えるし、李の病死もおそらくカムフラージュに違いないわ」

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