世田谷一家殺人事件〜実行犯は今、次なる「超大物」ターゲットを狙っている

独自取材でたどり着いた驚愕の事実
一橋 文哉

一方で、孤独感に苛まれた李は友人に「金田に裏切られた。絶対に許さない」と漏らし、師弟関係に軋みが生じ始めていた。

「李は金田から『宮澤さん一家は教団の正義実現に仇なす敵』と聞かされ、それを倒すことが使命と教え込まれていた。彼の命令に絶対服従だった李は徹底的に実行したが、後に周囲からカネ目当ての犯行だったと知らされ、心服していた分だけ怒りを爆発させたらしい」(前出の韓国マフィア元ボス)

09年10月、李は別の筋から暗殺の仕事を請け負い極秘に来日。標的は奇しくも世田谷事件の黒幕とされたXで、それを確認するため、李は大阪市生野区のマンションで金田に詰め寄った。

“命の危険”を感じた金田は昔の仲間に周りを囲ませ、「自分もXの指示に従い、利用されただけ」と主張、何とか切り抜けたと言っていた。

だが、Xが病気で急死し李が国外逃亡したため、再び李に狙われることを恐れた金田は、すべてを放り出して大阪から逃走した。

だが一度、死への恐怖心に取りつかれた人間に安住の地はなく、辛うじて知人のアパートに匿われたところに、私が訪れたのだ。

「私はヤツを見たんだ」

目の前に現れたのは、魂がすっかり抜け落ちてしまったような一人の“見すぼらしい老人”であった。

6年前に会った時も“命の危険”に怯え、すっかり白髪になっていたが、まだエリート紳士然とした容姿は残っていた。それが今は年齢はまだ還暦前のはずなのに、身体がさらに二回りほど小さくなり、何よりも全身に生きる気力が感じられなかった。

15年12月5日夜。私は大阪市内のアパートで金田と会った。

最初こそ、「もう話すことは何もないですよ」と虚勢を張っていた金田だが、李の話を始めると次第に顔面蒼白となり、「目の前にいつ、ヤツが現れるかと思うと、ドキドキ、ハラハラ、イライラして落ち着いてなどいられませんよ」と思わず本音を吐露した。