世田谷一家殺人事件、私は「真犯人」を知っている〜警察の致命的失敗とマスコミの怠慢

だから事件は迷宮入りとなった
一橋 文哉

さらに特捜本部は当時、捜査に行き詰まって犯人のDNA鑑定でルーツを辿る人類学的解析を進め、日本人や韓国人を含むアジア系男性を父に、南欧系女性を母に持つアジア系男性との結果を得ていた。日本人だと10人に1人、韓国人なら5人に1人の確率らしい。

そして、この男こそ父が日本人、母が南欧人のハーフ青年であった。が、特捜本部は男から任意で事情聴取するとともに自宅を捜索したが、指紋が一致せず、シロと断定せざるを得なかったのだ。

カネ目当ての主犯と狂信的な実行犯の分業

この事件は、なぜ犯人がメッタ刺しなど残虐な手口で幼子まで殺し、何を探して派手に物色したのかが不明。中2階浴室の小窓とされた侵入口も、脱出痕はあるが侵入痕はないなど謎だらけなのだ。

 

私は韓国マフィア元ボスの情報提供などから独自に取材を進めた結果、実行犯として韓国・ソウル市に住む元韓国軍人の李仁恩(仮名)、主犯(指南役)として都内在住の元宗教団体幹部、金田秀道(仮名)をマーク。その周辺を取材していくと、次のような事件の筋書きが浮かび上がってきた。

事業失敗で多額の資金を必要としていた金田が、宮澤さん宅に隣接する都立祖師谷公園の拡張に伴う移転補償金など1億数千万円を狙って犯行を計画。言葉の発達が遅かった礼君の発育支援と称して宮澤さん一家に近づき、自分に心酔する李に自分を知っている4人を殺害させたうえ、現金や預金通帳、一家と自分の繋がりが分かる書類や年賀状などを奪わせた――というものである。

宮澤家周辺では、移転する家屋を安く買い上げ、転売を繰り返した末に東京都に高く売りつけて荒稼ぎしようとする不動産ブローカーや暴力団系地上げ業者が跋扈し、宮澤家の内情を調査したり家族の動向を見張っていた形跡があった。

彼らは宗教団体の不動産取引を通じて知り合った金田と結託、宮澤家に土地売却を持ちかけて、応じないと嫌がらせしたり圧力を掛けていた。

さらに金田や不動産ブローカーの背後には“隠れオーナー”として投資顧問会社元代表Xがいた。私の追及に金田が「世田谷事件は私がやらせたことじゃない。本当の黒幕はXだ」と自白したのだ。

こうした実行犯と主犯を分離した事件の筋書き、李の性格や軍隊歴を考えれば、残虐な皆殺しや激しい物色痕など疑問点のほとんどは解消できる。また、金田の紹介で礼君の発育支援と称し訪ねてきた李をみきおさんが招き入れたとすれば、侵入口の謎も解決する。