銀座の若いホステスに「後藤新平って知ってる?」と訊いてみたら、日本の歴史教育のマズさがよく分かりました。

島地勝彦×黒鉄ヒロシ 【第4回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ いまカラフルなエイ革のブートニエールを伊勢丹のサロン・ド・シマジに置いているんだけど、これが大人気でよく売れる。そのメーカーの佐野直彦社長に、直々に教えてもらったんだよ。

黒鉄 商売は道によって賢し、とやらですね。でも西洋の刀よりも日本の刀のほうがはるかに美しいですよ。飾りものだけとっても日本刀のほうが断然美しい。ほら、カラスミだって世界中にありますけど、日本のもは器量がいいでしょう。

シマジ わたしは個人的には、姿形はともかくサルデーニャ島のカラスミが好きですね。

ヒノ シマジさんはボッタグラのパスタが好きですもんね。広尾のルッカで3日に空けず食べているという話ですが。

シマジ そうだ。黒鉄さん、このあと一緒に食事に行きませんか?

黒鉄 いえいえ、銀座のお姐さま方が待っていますから、今日はごめんなさい。その代わりもう一杯シングルモルトとネスプレッソを飲ませてください。

シマジ 銀座なんて明日行けばいいじゃないですか。しかたない、ではレアで古いシングルモルトを飲んでいってください。

黒鉄 ネスプレッソの方は先ほどのローマでしたっけ、それを淹れてください。

ヒノ 黒鉄先生、ホントに大丈夫ですか?

黒鉄 この傾いたグラスがまだ傾いてみえますし、ネスプレッソのこの白いカップは丸くみえていますから大丈夫でしょう。

シマジ ところで黒鉄さんの近著『本能寺の変の変』を愉しく読ませていただきましたが、どうして明智光秀は謀反を起こしたんでしょうね。

黒鉄 光秀は本能寺の変を起こすその年、正月の茶掛けに信長の書状を飾っています。しかも身内の者に「瓦礫沈淪の身から信長公に引き立てられ、われわれ下々の者がこんな暮らしを出来るようにしてくれたのだ。お前らもこころして殿に忠勤を励めよ」とまでいっているんです。

ところが、その年の6月に立ち上がっちゃうんですよ。よっぽどのストレスだったとしか考えられません。信長が大勢いる酒席で光秀を打擲したと宣教師が書いていますけど。

シマジ 「がれきちんりん」ですか。久しぶりに聞く漢語ですね。

ヒノ どういう意味ですか?

シマジ 石ころのように捨てられて落ちぶれたという意味だよ。宣教師というのはルイス・フロストですね。

黒鉄 あれは信長が光秀を諫めたんだと思います。つまり「てめえ、この野郎、オレのいうことを聞け!」と。ただあの時点で信長は終わってしまった。