日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!
~統轄団体・JBCのずさんな運営・資金管理を告発する

藤岡 雅 プロフィール

大騒動に発展

「グローブ事件」から3ヵ月後の13年12月3日、大毅はIBFとWBAの世界スーパーフライ級王座統一戦に臨んだが、この試合は対戦相手でWBA王者だったリボリオ・ソリスが前日の計量に失敗し、WBA王座を剥奪されたうえで行われた。その際、IBFのスーパーバイザーは、大毅が敗れた場合は「IBFの王座も空位になる」と誤って報道陣に説明してしまった。

結果、この試合で大毅はソリスに敗れてしまう。ところが、IBFのスーパーバイザーが前日の発言を翻して、「大毅が負けても王座に留まる」と発表したため、騒動に発展した。

「観衆や視聴者を欺く行為」として、JBCも亀田ジムも激しいバッシングに曝される。騒動の沈静化を図るためだろう、JBCは14年2月に亀田ジムの会長、マネージャーのライセンスの更新を認めなかった。

所属するジムの会長がライセンスを失うと、選手がボクサーライセンスを持っていても、原則、日本のリングには立てなくなる。つまり、JBCの処分は亀田兄弟に対する事実上の「国外追放処分」となったわけだ。

この処分の理由についてJBCは次のように説明をした、と各紙で報じられている。

<亀田陣営が勝敗に関係なく王座にとどまることを事前に知っていながら報告を怠り、公表もしなかったことを問題視した>

耳を疑うような説明だ。IBFのルールブックには「挑戦者が体重超過の場合は、チャンピオンは勝敗にかかわらずタイトルを保持する」ことが明記され、インターネット上にも公表されている。しかも当時のJBC事務局長がこの試合のルール・ミーティングに出席し、IBFのこのルールが書類に含まれている合意文書にサインまでしている。

亀田陣営がわざわざJBCに報告するような類のものではなく、むしろ公表、説明すべきなのは、試合の管理責任のあるJBCの方だろう。

なぜJBCはこのようなあからさまな責任放棄をするのだろうか。考えられるのはJBCがこのルールを把握していなかった可能性である。筆者の取材に対してJBCは「ルールミーティングで『亀田大毅選手がソリス選手に敗れた場合はIBFの王座は空位になる』と決定され(た)」とし、これが当時の事務局長が「当財団を代表して承認したルール」と主張している。

だが、当時の事務局長は英語を解さず、またJBCは通訳も派遣していなかった。大毅の「負けても王者騒動」はJBCのルール誤認が引き起こした可能性が極めて高いのだ。