日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!
~統轄団体・JBCのずさんな運営・資金管理を告発する

藤岡 雅 プロフィール

ありえないミスを連発

財務の悪化は、本業の劣化を招く。プロボクシングを長らく取材してきたベテランの全国紙スポーツ部記者は「JBCは数年前から、試合管理でありえないミスを犯すようになった」と言う。

「たとえば今年4月に東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチの勝者をJBCは誤って発表した。それを時事通信社が配信し、掲載した朝日新聞などが訂正記事を出すというトラブルがあった。試合を管理するコミッションが勝者を取り違えて発表するなど聞いたことがない」

昨年末、八重樫東が3階級制覇に挑んだWBC(世界ボクシング評議会)世界ライトフライ級タイトルマッチでも、前代未聞のミスをJBCは犯している。WBCのルールでは4回と8回終了時に中間採点をアナウンスすることになっている。

4回終了時に行われた採点で、JBCはジャッジ3人の内2人が「39-37で八重樫を支持」と発表。ところが5回終了時に、ジャッジ2人は「37-39で相手選手を支持している」と訂正したのだ。

「優勢」と思っていたのに、試合途中でそれを覆された八重樫は、戦略の見直しを迫られる。挽回を期して攻勢に出るも7回、相手のカウンターを受け消耗、最後は強力な左ボディーに崩れ落ちた。JBCのミスが八重樫の敗北の引き金となったといっても過言ではない。八重樫が所属する大橋ジムの会長は、協会の大橋会長である。温厚な大橋協会長もこの時ばかりは語気を強めて抗議した。

昨年12月に行われた八重樫×ゲバラ戦。JBCの凡ミスが勝敗に影響した可能性が指摘されている【PHOTO】gettyimages

試合運営は、協会を構成しているジムの会長など興行主が「試合役員費」をJBCに支払うことでその費用を賄っている。そのため致命的なミスを連発するJBCへの不満が数年前から高まり、いまや協会内部でその不満が吹き荒れている。

「JBCはこうした批判に真摯に向き合ってこなかった。今のJBCの姿勢からは、ボクシングやボクサーへのリスペクトという基本的な理念すら、揺らいでいるように見える」(老舗ジムの会長)。

関係者たちがこの疑念を一層深めたのが、”亀田追放処分”だった。14年2月、亀田ジムの会長らがJBCによりライセンスを停止され、兄弟たちは日本で試合をすることができなくなった。このときの騒動はマスコミでも大きく報じられたため、ご記憶の読者も多いと思うが、この裁定については、今でも「JBCの亀田ジムへの責任転嫁」との指摘が協会関係者から出ている。

〝亀田処分″の発端は、亀田大毅の13年12月のIBF(国際ボクシング連盟)とWBCスーパーフライ級王座統一戦での「負けても王者事件」だったが、その3か月前に行われた大毅の世界タイトルマッチもあわせて、追放に至る過程を検証してみよう。