「炭水化物抜き」は失敗する!

最も健康的で確実なダイエット方法は何か
中沢 彰吾

糖質を制限すると何が起きるか

たとえば本書では、たんぱく質・脂質・糖質の相関関係について、次のように記述しています。

脂質や糖質が不足した場合、たんぱく質には、さまざまに形を変えて利用されるという性質もあります。小型の糖であるグルコースに変わり脳や赤血球に、また脂質の代わりにケトン体となってエネルギーを供給します

ヒトの脳は重量にして全身の2パーセントに過ぎませんが、エネルギーは全体の20パーセントを消費します。ところが脳には糖質がまったく蓄積されていないため、血糖値が下がりすぎるとヒトは意識を失ってしまいます。物騒な話ですが、首を絞められたヒトが、心臓や肺が機能していても意識を失ってしまうのは、脳にエネルギーが供給されなくなるためです

糖質の摂取量が足りない場合、体のたんぱく質や脂肪組織が分解されてエネルギーとして利用されます〉(本書69~71ページより抜粋)

つまり、糖質を制限した場合、他の栄養素で代替させることはできますが、それはとりもなおさず、他の栄養素も連鎖的に不足する可能性がある、実はとても恐いことだったのです。

私は、ただ漫然と肉や野菜、こんにゃく、豆腐ばかり食べていましたが、決定的に不足した糖質のエネルギーを補えるほどの量を摂取できていたのかは疑問です。

脂質はほんとうに悪者か

また、メタボのイメージに直結する脂質についても、世間では大きな誤解がまかり通っていますが、実際はどうでしょうか。

脂質、特にコレステロールは細胞膜や神経組織の構成成分であり、血液や脳、神経などの細胞形成に必要不可欠です。また、体内のホルモンのはたらきを正常に保つ役割も担っています。栄養学者は『健康を保つ上で脂質ほど重要なものはない』とさえいい切ります。それは、人間の体の全細胞をかたち作り、正常に機能させるために脂質が欠かせないからです〉(本書76ページより抜粋)

これは正直、たいへん驚きました。無知を笑われるかもしれませんが、脂質について、現状で流布されている情報は悪玉コレステロールとか、中性脂肪とか内臓脂肪とかネガティブなものばかりです。

実は脂質にも生命に直結する大切な役割があるということが、すっぽり抜け落ちています。これもまた、相当危険なことだと言えるでしょう。