ボクシング、今年の「Fighter of the Year」は誰か

スポーツコミュニケーションズ, 杉浦大介

ローマン・ゴンサレス(WBC世界フライ級王者)
2015年3戦3勝(3KO)
バレンティン・レオン 3RTKO
エドガー・ソーサ 2RTKO
ブライアン・ビロリア 9RTKO

(ゴンザレスはアメリカリングでは今年度最大のライジングスターだったPhoto By Kotaro Ohashi)

軽量級の怪物はソーサ戦でついにHBOに初登場し、ビロリア戦ではHBO PPVのセミファイナルも堂々の内容で務め上げた。今年度もすべて圧倒的な内容で3連続KOを飾り、アメリカでも新たなセンセーションとなりつつある。メイウェザーの引退宣言も相まって、現時点で多くの媒体からパウンド・フォー・パウンド最強の評価を勝ち得るに至った。

本人の責任でないとはいえ、対戦相手の質はゴロフキンにもやや劣り、主要媒体から今年度のMVPに選ばることはないだろう。それでも2015年がゴンサレスにとって重要な1年だったことは間違いない。

新たにHBOスポーツ部のトップに就任したピーター・ネルソンが軽量級に興味を持っている。その恩恵も受けて、今後はHBOの常連ファイターとして本場のリングを騒がせていくことになるはずだ。

メイウェザー(元5階級制覇王者)
2015年2戦2勝
マニー・パッキャオ 判定3-0
アンドレ・ベルト 判定3-0

(長くボクシング界を引っ張ってきたメイウェザーの時代は本当に終わるのか Photo By Daisuke Sugiura)

パッキャオとの“世紀の一戦”をついに実現させ、明白な形で勝利した。この試合の途方もない興行成績はしばらく破られないだろう。さらに9月にはベルトとの“引退試合”を制し、無敗のままキャリアに幕を引いている。

社会現象にまでなったビッグファイトに勝ったのだから、本来ならばそれだけで最有力候補と目されてよい。また、19年も無敗を保った世代最強王者の現役引退に際し、“功労賞”的な形で年間MVPの票を集めてもしかるべきのはずである。

ただ……問題は、莫大な注目度の中で行われたパッキャオ戦の内容が、多くのファンから酷評されたこと。そして、ここでの引退をほとんどの関係者が信じていないこと。そんな要素を加味すれば、メイウェザーの2015年を評価するのは実に難しい。“Fighter of the Year””の投票時にも、選者は難しい判断を迫られることになりそうだ。

筆者選出の2015年MVP 
ゴロフキン

5人のうちの誰が選ばれても不思議はない大混戦であり、“間違い”という答えは存在しない。そんな中から、筆者が選ぶのはゴロフキン。メイウェザーの時代がようやく終焉に近づき、ファンはよりエキサイティングな新しい覇者を求めている。そんな新時代の旗頭として注目を集め、実際に期待に応えるだけの内容で勝ち続けている点を評価したい。モナコ、アメリカ西海岸、東海岸と場所に拘らずにメインイベントを張り、変わらぬ強さを見せつけている点も清々しい。

同じ系統のゴンサレスの話題性も急上昇中。ファン・フランシスコ・エストラーダとの再戦などの注目ファイトが実現すれば、1年後にはフライ級選手が米国内の媒体からMVPに選出される快挙達成も十分に考えられる。

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを 中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の 媒体に記事、コラムを寄稿している。著書に『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)『日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価』(KKベストセラーズ)。
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