ボクシング、今年の「Fighter of the Year」は誰か

スポーツコミュニケーションズ, 杉浦大介

アルバレス(WBC世界ミドル級王者)
2015年2戦2勝(1KO)
ジェームス・カークランド 3RKO
ミゲール・コット 判定3-0

(興行力の高さではカネロはメイウェザーの後継ぎと呼ばれるにふさわしい Photo By Kotaro Ohashi)

カークランド戦では“年間最高KO”も有力なKO劇を見事演出し、11月にはコットとの中南米ドリームファイトを制した。コット戦でのPPV売り上げは90万件以上と予想を上回る数字をマーク。メイウェザー引退後、カネロは業界最大の興行価値を誇る選手として認識されていくのだろう。興行成績まで含めた2戦の中身を考えれば、年間MVPの筆頭候補と考えられるべきか。

ただ、カークランド戦の結末は確かに見事だったが、この試合はもともとカネロの圧勝が予想されたショウケース・ファイトだった。コット戦は明白な勝利だったが、契約ウェイトの利点を生かし、サイズの違いが決め手になった上での勝利にも思えた。筆者もコット戦の内容は不満であり、依然として「カネロは過大評価ではないか」との疑いを消し去れていない。

すべてを考慮した上で、興行の世界では重要な要素である人気面も評価され、少なからずの媒体から2015年MVPに選ばれそう。この勢いを糧に、来秋にもゴロフキンとのミドル級最強決戦に臨んで真価を証明してほしいところだ。

ゴロフキン(WBA、WBC、IBF世界ミドル級王者(WBAはスーパー、WBCは暫定王者))
2015年3戦3勝(3KO)
マーティン・マレー 11RTKO
ウィリー・モンロー・ジュニア 6RTKO
デビッド・レミュー 8RTKO

(新時代の到来を感じさせた2015年。ゴロフキンの上昇ぶりも印象的だった Photo By Kotaro Ohashi)

今年も現代のトップボクサーとしてはハイペースで3戦を行い、そのすべてに圧倒的な形でのストップ勝ちを収めた。実力者のマレーを蹴散らし、IBFのタイトルホルダーだったレミューにも完勝。現役最強ファイターのひとりと認識されると同時に、モンロー戦ではロサンジェルスのザ・フォーラムを、レミュー戦ではニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデンを超満員にし、アメリカ東西両海岸でその人気が高まっていることを証明した。

依然としてアメリカでのキャリアの象徴となる勝ち星がないが、初めてPPV興行の主役を務めたレミュー戦はステップアップだった。レミューのスキルには限界があることは事前から指摘されていたとはいえ、IBFのタイトルホルダーを寄せ付けなかった強さは圧巻。今後のマッチメイクまで含め、さまざまな形で話題を呼んだという意味でもインパクトは大きかった。

同階級の多くの強豪から恐れられているのは紛れもない事実であり、ここまでビッグファイトのレジュメが薄いのは本人の責任ではない。HBOの後押しを受け、アルバレスとの決戦実現もついに視界に入ってきた。カザフスタンの破壊王のキャリアが、2015年中にまた一歩前に進んだことは間違いない。