中間管理職必読!「眠っている才能を伸ばす方法」楽天・梨田昌孝新監督

この男が行くと必ず強くなる
週刊現代 プロフィール

特に、嶋基宏の再生は不可欠です。彼は昨年、国内FA権を取得し、今季、海外FA権も取得。しかし、行使することなく残留を決めました。他球団に行く可能性がある中で、私の監督就任が発表された後、残留を表明してくれた。その直後、嶋と直接会うタイミングを待たず、私はすかさず電話をかけました。期待している気持ちを伝えるためです。

2年前に日本一になったときの正捕手だった彼が軸となることで、扇の要としてシマると思ったからです。いや、これは、単なるダジャレだけではありません。

彼のリーダーとしての能力は損なわれたわけではありません。その証拠に11月、日本代表として参加した「プレミア12」に出場していたときは締まったいい顔だった。それは日の丸をつけていた、という理由もある。だから嶋には、キャプテンマークではなく、ユニフォームの内側に日の丸をつけさせようかな。いやいや、もちろん、ジョークですけどね。

捕手には、文字通り、「投手を補う」役割もある。チームの精神的支柱になれる捕手がもう一回、甦ることによって、特に若い投手陣は「嶋さんのサイン通り放っておけば大丈夫」という安心感を抱き、信頼関係が芽生えてくる。私がその部分に目を配ることによって、今季、リーグ最下位に終わったチーム防御率を改善したいのです。

さらに、11月に岡山・倉敷市内で行った秋季キャンプでは、コーチ陣に対し、今までやったことのない練習へのトライを要求しました。

「こんなこと、できない」という発想を捨て、選手に、今まで開花していない能力に少しでも気付いてほしかったのです。

たとえば、ティーバッティングのときに顔の高さまで上がった球を、大根切りのようなスイングで打ちぬく。柔道の一本背負いのように、体の前で打つことでスイングが鋭くなる。

「今までこんな感覚、なかったです」と感じてもらうだけでも、成功なのです。バント練習も片手でやらせてみることで、ボールがバットにあたる瞬間まで見るという、基本に立ち返ることができます。

安樂を覚醒させる「間」

打順も、新たなチャレンジをしました。おもに3番として2年前の優勝に貢献した銀次を2番に置き、キャンプ中の紅白戦でも試しました。

'14年に首位打者を争った銀次は、球界屈指のバットコントロールの持ち主で、空振りする確率が少ない。彼を2番に固定することで、1番打者が塁に出たとき、バントで相手に簡単にアウトを与えず、チャンスを広げたい、と考えたのです。

私は近鉄で優勝したときは水口栄二、日本ハムで優勝したときは森本に2番を託すことが多く、ともに走者を進める犠打が多い選手でした。「攻撃型の2番」を置く試みは、私の監督人生の中でも新たなチャレンジです。