たくさんのモノはもういらない!
40を過ぎたら、少なく、贅沢に暮らそう

小川 糸 プロフィール

これがいいと確信できた「ナイフとフォーク」

いいもの探しは国境を越えることも。ここ5年ほど、夏を過ごすのが定番になったベルリンの滞在中に見つけたのが、ナイフとフォークです。切れ味がよくてふだん使いの食器にも合うものをずっと探してきました。

デザインが素敵なイタリア製のものを使いながら「一生添いとげられるもの」とまではいかないなぁ……と悶々としていましたが、やっと出合えました。

週末に開かれる蚤の市に足を運んで、昔使われていたナイフから掘り出し物を探したり、レストランの食事中にフォークの刻印をチェックしたり。いくつも候補は出てきたけれど、まだまだあるかもと粘りに粘って、そしてついに見つけたのが老舗の百貨店のショーケースに並んでいたこのセット。

やっと出会えたナイフとフォークはドイツのゾーリンゲンにあるアイヘンラウプ社製のもの。ひとつひとつ職人さんによる手作りだ。

「切る」「刺す」という機能性を追求して磨きあげられた形状。木肌が手にしっくりなじむ、シンプルだけど品のいい柄の意匠。手にとってみてすぐに「これがいい」と確信できました。ずっと探していたものに出合えたときの安堵感と充足感。この瞬間がとても好きです。

肉や魚に使うサイズのほか、デザート用の小ぶりのものも購入しました。お客様にタルトやフルーツをお出しするときにナイフとフォークを添えると、「へぇ。タルトにナイフ?」とびっくりされますが、使ってみるとタルトが崩れずにスイスイと切れるものだから、みなさん納得されて「これ、いいねぇ」なんておっしゃいます。

これまでもずっと私の生活に寄り添ってくれたものであり、これからの生活もともに過ごすもの。そんなかけがえのない“相棒”のような道具がひとつ、またひとつと増えていっています。

* * *

小川糸 (おがわ・いと) 2008年に発表した小説『食堂かたつむり』(ポプラ文庫)が映画化され、ベストセラーに。同署は、2011年、イタリアのバンカレッラ賞、2013年、フランスのウジェニー・ブラジエ小説賞をそれぞれ受賞した。そのほかおもな著書に、『喋々喃々』『ファミリーツリー』『リボン』(以上、ポプラ文庫)、『にじいろガーデン』(集英社)、ドラマ化された『つるかめ助産院』(集英社文庫)などがあり、最新の長編小説では、『サーカスの夜に』(新潮社)がある。

これだけで、幸せ 小川糸の少なく暮らす29ヵ条
著者=小川糸
(講談社、税込み1,404円)

一生添い遂げるものを探す喜びは、ものがいらない生活を始めるスタートでもある。人生をもっと豊かにするコツを小川糸がアドバイス

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