歌舞伎町の「キャッチ」について行ってみた! 居酒屋・キャバクラ・風俗店……ボッタクリの現在

久田 将義 プロフィール

50万円請求したキャバクラ

朝から営業をしているキャバクラ、通称「朝キャバ」。

2014年12月。早朝、入店し、昼近くまで店で寝ていた客に約50万円を請求し、払えないと言ったら客の住んでいる寮から荷物を取り寄せ、半日ほど働かせたキャバクラ店が摘発された。

「払えないなら働いて返せ」と、客は客引きや便所掃除等を強制させられたが、身の恐怖を覚え東京・歌舞伎町から静岡県まで逃げた。「富士山まで行けば追って来ないと思った」からだと言う。よほど怖い思いをしたのだろう。

ボッタクリ条例と労働基準法違反で逮捕された当のキャバクラ店5人の男たちをテレビのニュースで観たのだが、丸坊主に相撲取りのような身体をした男が2人ほどいるし、顔つきもブルドッグのようで「典型的なヤクザだな」と僕は思ったものである。

こういった男たちに脅されれば誰だって、恐怖を覚えるだろう。

少し驚いたのがこのキャバクラ店には以前から悪評があって、「ボッタクリではないか」と交番に訴える客がかなりいた事である。しかし、警察は「値段表もある」という事で、取り締まらなかった。ようやく今回、無理矢理働かせたという理由で逮捕まで至った訳だが、それがなかったら未だに営業をしていたのかもしれないのだ。 

とはいえ、こういった店は短期間だけ営業をし、ボッタクリで稼いでさっさと閉店するのが常套手段である。

逮捕された人間たちもテレビカメラの前で堂々としており、なぜかと言うと「罪状が軽いので実刑になったとしても数年で出所できる。その分稼いだ」という計算が働いていたのではないかと想像する。最近は警察も東京オリンピックが開催されるとあってか、ボッタクリ店の摘発に力を入れている。

知り合いが新橋で、一晩で80万円ボッタクられた話も紹介しておこう。

この場合はキャッチが中国人女性であった。その女性に付いて行き酒を飲んでいると、段々と記憶が薄れていったのだという。恐らく、酒に「何か」を混ぜられたのだと思う。

それから何軒かハシゴしたらしいのだが、よく覚えていない。気がついたら昼に近い時間で自分のカードから80万円ほど、引き出されていたという。

悲惨なケースだ。

その知り合いは僕より先輩で、なぜそのような冒険心を出したのか理解に苦しむが、その日は打ち上げか何かあって気分が上がっていた時だったのだと話してくれた。

これほど酷くはないが、六本木の路上で客引きをしていた中国人女性に僕も付いて行った体験がある。

前からその店が怪しいと思っていたので、確かめたかったのだ。これも妙な「冒険心」である。その店は表通りだったのでいざとなったら逃げやすい立地にある、という事は確認済みだ。その店はマッサージ店だった。

店内は「電気の無駄遣いをなくすため」と称し、真っ暗に近い状態。電気の消費を抑えるのは分かるが、やり過ぎだろうというレベルの暗さである。

マッサージ用の服に着替えるのでもなく、上着だけ脱いで背中からマッサージしていくのだが、どうもプロっぽくない。そのうち手が下腹部の方に行き、「微妙なマッサージ」をしてきた。これからどうなるのか、と興味津々で目をつむりながら身を任せていたが、女性が耳元に口を寄せて「そろそろ時間だけど延長しない?」と言ってきた。

「ああ、竹の子はぎか」と思い、僕は起き上がり「チェックでお願いします」と断った。「竹の子はぎ」とは本来は、女の子が服を脱ぐごとに金を請求されるボッタクリ形態の事だ。

服を一枚ごとに脱いでいく様子が、竹の子の皮をはいでいるようなのでこのネーミングになった。客引きをしている中国人女性の雰囲気も、どこか後ろめたいところがあるのか小さい声でソッと近寄ってくるのが特徴だ。

また、店内がほぼ真っ暗な店は省エネとか関係なしに怪しいと思った方が良い。すぐに退店する事をお勧めする。

要するにキャッチに付いて行くとロクな事にならない。

と、ザックリ覚えていてもらえば結構である。

(*本記事は『生身の暴力論』の第三章「暴力の現場」より一部抜粋したものです)

久田将義
1967年東京都生まれ。編集者。法政大学社会学部卒業後、産経メディックス入社。『ダークサイドJAPAN』『ノンフィクスナックルズ』『実話ナックルズ』などの編集を手掛ける。著書に『トラブルなう』『関東連合~六本木アウトローの正体~』など。