歌舞伎町の「キャッチ」について行ってみた! 居酒屋・キャバクラ・風俗店……ボッタクリの現在

久田 将義 プロフィール

暴排条例と暴対法が施行されたため、ヤクザは地回りと言われているパトロールを大っぴらにしなくなった。

地回りとはヤクザが繁華街を練り歩き、自分たちが面倒を見ている店でトラブルがないか、チェックする事だ。示威行為も兼ねていると思う。通行人からすれば野獣のような眼をした十人くらいの集団が道いっぱいに広がって歩いてくるのだから、はっきり言って怖いし迷惑である。

かつて僕も歌舞伎町で飲んでいる時に何回も地回りに遭遇した。僕は近眼なので遠くから道をふさぐように歩いてくる集団を見て、「サラリーマンか学生の酔っ払いか? 態度が悪いな」と思い真ん中を突っ切って行こうと思ったが、近くまで来てそれが異様な雰囲気を醸し出していると気付いた。

「ヤバい。ヤクザだ……」。

慌てて横道に逸れて集団をやり過ごした。

遭遇すれば確かに怖い。しかし、それはやり過ごせば別にどうって事のない話だ。あえて、ヤクザに喧嘩を売りにいく人もいるまい。その頃─1990年代─はヤクザは怖いが、キャッチは大人しかった。「分をわきまえている」というのだろう。地回りが行われると、キャッチたちがスッといなくなる。それこそまるで「忍者」のように。

しかし、暴排条例と暴対法によりヤクザという重しがなくなった現在、キャッチの方が怖くなった。恐らく全国の繁華街に言えるとは思うが、歌舞伎町は特に酷いと聞く。

前述の広域指定暴力団三次団体組長の話。

「暴排条例施行後は一人で道を歩くんです。私にキャッチが話しかけてきた時、私の後ろには二、三人若い衆が距離を置いて付いて来ているものですから(註・ボディガード代わりなのだろう)血相を変えて飛んで来ます」

「うちの親分に向かって何て真似してくれているんだ」という若い衆の心理だろう。

暴排条例と暴対法でヤクザに対する締め付けを厳しくした結果どうなったか。

ヤクザの目が届かなくなり、キャッチのような本来ヤクザの権威の範囲内にある者たちが範囲外にはみ出して、やりたい放題するようになった。警察は「民事不介入」が建て前なのでキャッチを積極的に取り締まる事はしない。

施行したは良いが、果たして歩きやすい街になったのだろうか。僕は複雑な思いに駆られる。ヤクザを全肯定する訳ではないが、正直言って僕はヤクザが大勢で地回りをしていた時期の歌舞伎町の方が裏社会のバランスが取れていたため、気がねなく飲めた気がする。

今は、一般客にとって以前より危なっかしい街になっている。前記したように、客が客引きを断ったら殴りかかられるような街である。