マエケンに問われる「覚悟」〜男たちはなぜメジャーを目指すのか

週刊現代 プロフィール
ニューヨーク・メッツ時代の高橋建 〔PHOTO〕gettyimages

高橋が海を渡ることを決断したのは39歳のとき。当然、周りからは「無謀だ」「さっさと引退したほうがいい」という批判的な声も少なくなかった。だが周囲になんと言われようが、メジャーへの気持ちを捨てることはできなかった。

「年俸は半分ほどに減りました。でも後悔はしていない。逆にメジャーに行かずにあのまま日本にいたら、きっと後悔を抱えたまま野球人生を終えていたでしょう」

確かにカネは大事だが、カネがすべてでもない。

高額な契約金をもらい、アスレチックスに入団した中島裕之(33歳・現オリックス)やミネソタ・ツインズに入団した西岡剛(31歳・現阪神)には、「なぜメジャーでなければならないのか」という思いがファンにも希薄に映った。

そして大方の予想通り、活躍はできなかった。彼らはなぜ自分がメジャーで通用しなかったか、語ろうとはしない。そういう姿勢が、彼らに対する「ファンの熱」を冷めさせたことは否めない。

野茂英雄の言葉

その点で言えば、どこまでいっても潔いのが、川崎宗則(34歳・トロント・ブルージェイズ)だ。

「もしあのままソフトバンクにいたら……」と思う人も多いだろう。でも川崎の人生に「もし」はなかった。「アメリカに行く」という人生しか彼には考えられなかった。

メジャー移籍を巡ってこんなエピソードがある。現在、ソフトバンク監督の工藤公康の現役時代のことだ。当時、ダイエーから移籍を考えていた工藤は、巨人に行くか、それともメジャーに行くかで悩んでいた。そこで当時大リーグで活躍していた野茂英雄に相談を持ちかけた。すると野茂は工藤にこう言った。

「迷っているなら、それは日本に残りたいということ。一度でも迷ったら海は渡らないほうがいい」

野茂の言葉通り、工藤は巨人への移籍を決めた。

生半可な覚悟では絶対に上手くいかない。それがメジャーだ。松坂大輔(35歳・現ソフトバンク)や井川慶(36歳)に、その「覚悟」があったかと言えば、首を傾げざるをえないだろう。

中途半端な覚悟で行くくらいなら、逆に西武の中村剛也(32歳)のように「自分はアメリカでやるタイプではない」と割り切る選手のほうが気持ちがいいと、ファンの目には映る。