われわれが死んだ後、「本当はタバコはよかったのに」といわれることが必ず起きるとぼくは確信しています。

島地勝彦×黒鉄ヒロシ 【第3回】
島地 勝彦 プロフィール

黒鉄 両先輩に申し上げたいのは、タバコは体に入るだけではないということです。自意識の問題があるんです。バーのカウンターでタバコに火を点けるとき、そこには自分とタバコが存在する。そこに人格が生じる。無理なく気取れるんですよ。

タバコをやめちゃうと男の色気がなくなりますし、第一、タバコをやめるとやたらメシを喰っちゃうんです。だから太ります。

シマジ それでタッチャンは最近太ったんだ。

立木 シマジに余計な心配をされたくない。お黙り!

黒鉄 あっ、そうそう。講談社の出版文化賞の授賞式のとき、カメラ部門で立木さんが賞をとって、ぼくが挿絵でもらって、控え室が一緒でした。

立木 いちおう覚えてはいますが、またもの凄く昔の話だよね。

ヒノ それを昨日あったことのように話すのが黒鉄先生らしいですね。

立木 逆に1週間前のことは忘れているかもしれないな。

黒鉄 まったく仰る通りです。最近はとくに物忘れがひどくて、昨日の晩なにを食べたのか全然思い出せないなんてことがしょっちゅうです。

立木 あなたはむかしから作家連中と深いお付き合いしてきたでしょう。

黒鉄 はい。ぼくの誕生日にお亡くなりになった阿川弘之さんとは、じつは2人っきりで2度もハワイに行っているんですよ。ヘンな話でしょう。

ヒノ 阿川さんと2人っきりで2度も? いったいどういう流れでそうなったんですか。

黒鉄 ね、可笑しいでしょう。その前にネスプレッソのお代わりとシマジさん秘蔵のシングルモルトを一杯いただきたいんですが。

シマジ それではベンリアック1977年を飲んでください。これはアルコール度数が54.9度ありますのでゆっくり飲んでください。

ヒノ ネスプレッソのお代わりをどうぞ。