2015.12.15
# 本 # 現代新書

「人材派遣業」の闇〜あまりにブラックすぎる実態を潜入レポート

中沢 彰吾

問題のある派遣会社の顧客リストには驚くほかない。最高裁判所、法務省、厚生労働省、国土交通省、財務省、総務省、文部科学省等の中央官庁。全国の地方自治体が運営する美術館や大ホール、運動場などの公共施設。新聞社やテレビ局などの大手マスコミ、大手通信会社、大手金融機関、大手小売、大手製造……世間から真っ当と見られている団体、企業がこぞって人材派遣会社の繁栄を支援している。

歪んだ労働市場に寄生し、中高年を低賃金の奴隷労働で酷使し、ピンはねで肥え太る人材派遣……彼らの増殖と繁栄は底辺の労働者のさらなる困窮と表裏一体であり、彼らの画一的、抑圧的なビジネススタイルは日本社会の創造的な活力を削いでいる。

人材派遣会社の社員は25歳で年収3000万円を豪語する。そんなピンはね手配師たちも含めて誰もが「平等かつ自由に」働ける社会にしなければならない。でなければ日本経済の浮揚などありえないだろう。これはまごうかたなき日本の「今」である。

中沢 彰吾(なかざわ・しょうご) 1956年生まれ。東京大学卒業後、1980年毎日放送(MBS)に入社し、アナウンサー、記者として勤務。2006年、身内の介護のために退社した後は、著述業に転身。単著書に小説『全壊判定』(朝日新聞出版)などのほか、企画構成に携わったものに『35年間に38回のミリオンセラー〈100万個販売〉を達成した男』(講談社)、『ウルトラマンが泣いている』『向き合う力』、共著書に『食をめぐるほんとうの話』(いずれも講談社現代新書)がある。

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