研究者としてやっていくのに必要な「研究以外」のノウハウとは?

ボスは、あなたの何を評価しているのか
長谷川 修司
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研究者は魅力あふれる職業

 研究者とは、おそらく、数ある職業のうちで最も魅力的な職業の一つと思います。今まで誰も知らなかったことを発見したり、新しい概念を考え出したり、新しいものを発明したり、常に「前人未到」のことを目指していますので、毎日がワクワク感いっぱいです。まさにクリエイティブな仕事です。

 大学院入試の願書提出時期になると、どの専門分野に進んだらいいのかと「迷える子羊」の顔をした学部4年生が、何人も研究室を見学に来ます。私は、私自身の専門分野の魅力を伝えるとともに、他の分野も同じように魅力的であること、広くいろいろな分野を調べてみるのが好ましいこと、そして一般に研究者はとても魅力的な職業であることなどを学生に話します。専門分野を決めるのは学生にとって重要な「人生の岐路」ですが、どの分野に進んでも、研究は楽しいはずです。

 しかし、研究には、同時にそれなりに厳しいものがあります。夢や憧れで専門分野を選択するのはいいことですが、それぞれの専門分野で研究者としてうまく生き抜いていくためには、研究内容以外に、ある程度のスキル、ノウハウ、基本的な態度・考え方を知っている必要があります。たぶん、それらは分野や所属機関によらない一般的なことだと思うのです。

 本書では、私の専門のため、理工系の分野での経験をもとにしています。本書でいう「研究者」とは、所属機関にかかわらず理工系の研究者をイメージしています。しかし、本書の記述には人文・社会科学系の研究者にあてはまる部分も多いのではないでしょうか。研究者を目指す学生諸君、あるいは、すでに研究者としてキャリアを歩み始めた若手諸君、さらには中堅研究者にも参考になることでしょう。

著者 長谷川修司(はせがわ・しゅうじ) 
1960年栃木県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了。理学博士。日立製作所基礎研究所研究員、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻助手、同助教授、同准教授を経て、現在、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。専門は表面物理学、とくに固体表面およびナノスケール構造の物性。著書に『見えないものをみる ナノワールドと量子力学』(東京大学出版会)、『振動・波動』(講談社)などがある。
『研究者としてうまくやっていくには』
組織の力を研究に活かす

長谷川修司=著

発行年月日: 2015/12/20
ページ数: 256
シリーズ通巻番号: B1951

定価:本体  900円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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