軽減税率・自民と公明「大モメ」の全真相!
~自民党に激怒した山口代表と、ホンネがちらつく安倍首相

鈴木 哲夫 プロフィール

センスのない政治家が邪魔をする

首相側近がこの対応の問題点を指摘する。

「幹事長が現場にあまりにも早く入り過ぎた。話をまとめるというのは現場で議論をもっとガンガンやって煮詰めて最後の最後に幹事長会談で決着させるという手法。まだ現場でもめているときに幹事長会談やってもまとまらないし、すると最後は党首会談でということになり、首相や代表を引っ張り出してしまう。

なぜ谷垣さんに預けたかというと、安倍首相が細かな金額や品目に言及すると、それが今後、政局で『首相の言質』として利用されかねないからだ。谷垣幹事長は、まとめてくれと言われたから責任感ですぐに出て行ったのだろうが、その辺り政局センスが足りない」

そんな中で、安倍首相がもう一度仕切り直しせざるをえなくなった。11月27日、約40分に渡って首相と公明党の太田昭宏前国交大臣の会談が持たれたが、これが一つのポイントと見る向きは多い。

「党首会談で決めるなどという事態になれば、与党のガバナンスが欠けているという失態を晒してしまう。そこで、首相周辺や公明党幹部らが推す形で調整役の太田さんが出てきた。実は安倍首相にとって太田さんは、公明党では本音で話ができる数少ない議員。ここで、方向性や落としどころ、財務省とのすり合わせなども含めて話し合われたと見ていい」

注目は、この会談のあとだ。税収減の猶予を「8000億円~1兆円程度」まで広げるとの情報が、官邸などからメディアにリークされ始めた。この数字は「首相・太田会談」の意向を汲んだ菅官房長官が、財務省にも睨みを利かしながら数字を出したとも言われている。

財務省も当初は「4000億円」の範囲内にこだわっていたが、最近「安倍首相が政権基盤をさらに固め憲法改正にも着手するために、消費税10%再凍結を掲げて衆参ダブル選挙をやる」といった憶測が首相周辺から流れていることに反応したという見方もある。

「財務省にとっては、『解散して消費増税の再凍結を国民に問う』などとやられてはたまらない。ここは安倍首相の『公明党に譲れ』という指示を聞いて怒らせないほうがいいという判断も省内にはあるのかもしれない」(前出自民政調幹部)

このように見ていくと、今回の「軽減税率」をめぐる自公の混乱は、公明党の「選挙協力をちらつかせてまで譲れない事情」があり、首相も「安保法制での借り」を返し、「来年の参院選を見据えて、戦略上公明党に花を持たせるのがベスト」と判断している構図と言えそうだ。